《 「運命」は人間がそれを蒙るという受動性の立場から、幸・不幸の視点から捉えられるべきものではなく、人間がそれにたいしてどのように対峙するか、その能動性、あるいは人間存在にたいするその哲学的・倫理的意味から捉えられなければならない。「運命」とは、人間にたいして人間の条件の如何を明晰に自覚させ、それへの関わりの決断を求める存在論的作用なのである。》 

 

中田光雄 『諸文明の対話 マルロー美術論研究』 61頁 

 

 

 

 

これはマルロー自身の言葉ではなく、マルローの思惟を咀嚼したこの著者みずからの言葉である。これでぼくはこの著者を認めた。