日本人は、社会を品よくする素質に欠けている。信仰がないからである。ぼくも既成信仰がよいとは思わない。正しい信仰は哲学的信仰しかないと思うが、一般にはむずかしいだろう。とはいえ、日本社会の品のなさと無信仰(神社信仰は信仰ではない)はどうにかしなければならない。 

 

 

日本人一般の意志の薄弱さが、品のないものを社会に跋扈させている、と言えば正確だろう。その根底にあるのが、精神の真の信仰性の欠如による内的無秩序なのだ。これが無信仰の問題である。 

 

 

ぼくはもう、そういうものに、とっくに我慢がならない。というか、とっくに否定しきって、無縁に生きている。 ところが、社会は依然として以前のままであることに、日本への絶望を濃くするのである。 昔の智恵を繙くのではなく、あたらしい生き方をあたらしい(本質的には普遍的な)精神で見いだすことが必要だ。