なにごとも時期というものがあって、内実が整わないうちは、真理も真理とならない。真理は一般的命題として習うようなものではない。個人の各々の時熟を前提とする。時期が来れば自然に解るが、その時各自は、真理の最初の発見者なのだ。誰も見下ろして評価の態度をとれるものではない。真理は、人間を離れてどこにもない。
自分のために書く必要のないものだが、言葉になったので記した。
〔節題「すべてにはその時がある」(アレス・ハット・ザイネ・ツァイト)はヤスパース『哲学』より。ある意味で彼の哲学の核心を告げている。〕