《無限なものへの夢と失われたものの中に光を求め、何時もイタリーに惹きつけられ、そして到頭愛を死の中に求めた男は、ヘルダーリンの一生のように悲惨に見える……。けれども、私達もまた敗北した不幸な人間なのであろうか?……
私がいま愛の手紙らしくないこの独白をあなたに書くのは、多分あなたに愛を語りたいからではない。「私」を話したい。「あなた」を見たい。そしてそれは「詩」と「愛情」によってしか充分に現せないように私は思うから……。》
高田博厚『薔薇窓』 V より
静謐な知性を通して現れる魂の空間 芸術