1880年、40歳ではじめてロダンは自国の「美の巡礼」をする。これが、自らの「道(シュマン)」を真に歩む者の「順序(オルドル)」だろう。


中世建築(ロマネスク、ゴティック)と彫刻との関係。なぜそうなのか。ともに「自然」に拠りつつ「神」をめざすからだろう。「空間と量体」、「明暗と厚み」、「量と面」、・・・。建築と彫刻は根幹の本質を共有する。そしてロダンが、「面(プラン)が必要だ。面とは量のことである。」と言うとき、われわれは、自然に拠ることの意味とともに、その真意をただちに理解しているはずだ。

「進歩はじつに遅く、不確かだ。やがて不意に啓(ひら)ける。暗中模索の末、齢を重ね、ただ忍耐によって…」 とロダンが言うとき、たしかに彼はリルケの師であったことをわれわれは得心する。



先生の「偉大な芸術家たち」をゆっくり紹介しているが、先生が長年かけて理解会得した世界を、すこしは時間をかけてかんがえることは、礼儀じゃないかな。 「すぐに理解しようとすることは現代の病気だ」と日本の或る文筆家も言っている。




クーラー嫌いのぼくは潮の如くかく汗もすぐ蒸発する温度になるとき夏のエンジンがかかる夏三昧