「アンティミテ」は内的相互浸透性であると私は言った。これは基本的に二項間の不可分離性を表明している。従ってここでは、「自己愛」とは、自己自身を求める自己と、求められる自己自身との間に、存在論的なが原理として先行している事態のことなのであり、「他者愛」もまた、自己と他者との間に、他者への具体的な関わりの行為に先立って存在論的な繫がりが存しているという根本状況をまず示すものなのである。――故に、アンティミテを「愛」と換言する場合、「……との愛」という双方向的心象も、「……への愛」という一方向的表現も、原理としての愛を示すに適切ではなく、従って私は簡潔に、「自己愛」・「他者愛」と表記するのである。――原理としての愛は、一方向的なものとしても双方向的なものとしても適切に理解されず、およそ方向性なるものを超えたもの、そういう運動性の根底に存するものである、というのが私の理解である。