プロが ①タイトルの解説、②重要単語の解説、③日本語でざっくりまとめ
の順で英語論文を紹介しています。 


今日は③日本語でざっくりまとめ:
英語論文を読むうえで最初のステップは
ざっくりと理解できるようになることです。
毎日何万件というような研究が発表されている中で、
自分の得たい情報が含まれているか否かを判断するスキルが必要だからです。
抄録は基本的に無料で提供されていますが、全文は有料という論文も多いです。
お金も時間も有効に使うためには、
抄録を読んで内容をざっくり理解することが重要なの
です。

データの解析法など詳細はしっかり理解できなくても良いので、下記のような情報をざっくり掴みましょう。
  • 目的:何を調べた研究なのか
  • 試験デザイン:どのような研究方法で、どんな人を何人対象として、どの位の期間調べたのか
  • 結果:効果があるといえるのか。安全性はどうなのか
  • 結論:この研究から何が言えるのか


取り上げている論文はこちら:
Meals based on vegetable protein sources (beans and peas) are more satiating than meals based on animal protein sources (veal and pork) – a randomized cross-over meal test study
(2017年1月20日 Food & Nutrition Research誌オンラインより)
 


先日タイトルを読むだけで何となくの内容が把握できることを書きましたが、
抄録を読んでみると、もう少し詳細が分かります。
  • 目的:植物性たんぱく質(豆類)が、動物性たんぱく質(子牛や豚肉)と比較して食欲に対してどのような影響があるかを評価する。
  • 試験デザイン:
    • 二重盲検プラセボ対照無作為化クロスオーバー試験
    • 対象は標準体重で健康な若い男性43名
    • 対象者は下記の介入を順に与えられた
      • 高たんぱく(動物性)
      • 高たんぱく(植物性)
      • 低たんぱく(植物性)
    • 食後、主観的な空腹感が30分おきに評価された。
    • 食後3時間で自由に食べることを許可した際のカロリー摂取量が計測された。
  • 結果:
    • 高たんぱく(植物性)の食事後は、他の食事と比較して満腹感が高く空腹感が低かった。
    • 高たんぱく(植物性)の食事後は、3時間後のカロリー摂取量が低かった
      • 高たんぱく(動物性)食事後と比較すると、カロリー摂取量が12%低かった。
      • 低たんぱく(動物性)食事後と比較すると、カロリー摂取量が13%低かった。
  • 結論:植物性たんぱく(豆類)を中心にした食事では、食欲コントロールに良い効果がみられた。また、低たんぱく(植物性)の食事は、高たんぱく(動物性)の食事と同程度に満腹感を与えた。


※本ブログは最新の英語論文の紹介、英語論文を読むスキル育成のサポートを目的としており、論文の内容自体について著者の賛否は示しておりません。
健康・ヘルスケアの分野はまだ発展途上です。例えば●●が減量に有効だとある研究で示されていたとしても、別の研究では何の効果もないと示されていることは非常に多いです。一つの研究結果だけで判断するのではなく、複数の研究を読み総合的な判断をしてください。