3つの目録形態のうち、「冊子体目録」は最も古くから作成され長く利用されてきたものです。要は、自館にある図書のリストを冊子形式でまとめたものです。逆に、遠く離れた図書館の冊子体目録を入手しておけば、所蔵図書とそのだいたいの内容が分かる仕組みです。
【冊子体目録/冊子目録 book catalog】
a) 利用された中心的な時期:
中世から近世19世紀後半まで。(但し、発生は図書館の出現とほぼ同時と考えられる。)
b) 時代背景:
図書は高価で貴重。発行数・蔵書数・利用者は限定的。
c) 役割・機能:
記録、財産目録。
d) 特徴:
図書目録の形態として最古。長く利用された。
e) 標目*:
主に、著者。
f) メリット:
一覧性・携帯性に優れる。一度に複数部作れる。遠隔地でも検索ができる。
g) デメリット:
・さまざまな標目の排列位置ごとに記述を掲載すると紙数が増えすぎる→アクセスポイントが限定される。
・加除修正が行いにくい →現実と記載情報に時差が生じる。
h) 作成方法:
・図書館が手作業で作成。作成・更新は、図書館員の努力に大きく依存。
・1960年代はじめ、印刷・撮影技術が進歩し、作成作業が改良→COM(Computer-Output Microform)へ。
i) 作成ルール:
目録記述や記入法は図書館ごとに異なる。
j) 利用者:
冊子体目録を直接見る。冊子があれば館外でも検索可能。
k) 日本の例:
「国書総目録」、「新収洋書総合目録」
時が経ち蔵書が増えてくると、リストの更新も簡単ではなくなっていきます。
昔々、冊子体目録を見て図書館まで旅をし、行ったのにお目当ての本がなかった場合のガッカリ具合は半端なかっただろうと想像します。自分、ここに何しに来たん?とりあえず図書館の裏の居酒屋へGOですね。
*司書コース以外の読者の皆様のために補足:「標目」
本(及びそれに関する情報)を検索する時に手がかりとなるもの。今は端末にいろいろな単語を入れてさまざまな切り口で検索できるシステムになっているため、何を標目として選ぶかという選択の概念から解放され、「アクセスポイント」という考え方に変化してきたとのことです。