welcomeじゃない。 | Keyaki

welcomeじゃない。


そう、実はベルギー、移民や移住はできればあまり入れたくない。

もちろん才能ある逸材やベルギーの利益になるような人材は別だが、誰でもウエルカムで住まわせるわけではない。

地元ブリュッセル育ちのベルギー人が言うには、実際もうあまり外国人は移住させたくないのがベルギー人達の本音らしい。




というのも、

今から約20年程前、ベルギー政府は自国の景気上昇のために南ヨーロッパおよび東ヨーロッパから大量に労働者を集めて移住させる政策をとったらしい。
対象者はマインニングや工事などのいわゆるブルーワーカー達で、安い賃金で仕事を与える代わりに移住して市民権とアパートを与えるというもの。
移住にかかる費用を負担する制度もあったらしく、当時仕事のない東欧や南欧の労働者にとってはかなり好条件にみえたようだ。

政府の計画通り労働者達はベルギーに移住して経済を支え(一部の富裕層の為にね)、一時は景気もよくなったようで政策は成功したかのようだったらしいが、弊害(ベルギー国にとっての)も出てきたらしい。

それは移住してきた労働者の家族・親族・友人達が彼らをたよって大量に押し寄せてきたこと。

これによって移住地域の人口は急激に増え、担当地域のコミューンでは連日連夜の移住手続きラッシュ。断っても断っても次から次ぎへ家族と名乗るものが押し寄せ、予期せぬ事態に自治体は大慌て。次第に断られても無許可で勝手に滞在するものもでてきて、あれよあれよと言う間に気づけば不法労働者たちが増加。

不法労働者が増え始めると、それに伴い犯罪やブラックマーケットも増え始め、ついには治安が悪くなる始末。宗教や人種の問題もでてきて大わらわ。そこまで予測していなかった政府は成す術なし。いままで来た外国人労働者に帰ってくれともいえず、やむなくとった手段が「もう新たに外国人移住させない」という判断。

というわけでこの10年間というもの、移住担当地域における家族IDの発行は慎重に慎重を重ね、何重にもCheck工程を増やして、なるべくネガティブに対応するという姿勢を続けているというわけ。

だからあんなにも家族ID取得が大変なわけです。


※一番北の大きなVille de Bruxellesが自分がすむ地域。



2014年現在、総人口約1200万人程度しかいないこの国の4人に一人がイスラム教信者。
イスラム系の学校や施設も増え、それに伴い地域によっては社会システムも変わってきているという。

ただでさえオランダ語圏系とフランス語圏系の民族の対立があり、国内で言語統一すらされていないのに、そこにイスラム系までが入り、さらに他の外国人達までが入ってくるとなるともう、じゃあベルギーって何?ベルギー人って何?って話になるわな。

もちろんいまでも政治や企業の主要ポジションは昔からのベルギー人が握っているけど、それもいつまでやらって不安もあるんだろうね。

陸続きの国だと島国にはないこういった問題もあるようで、国を維持していくってのも大変だ。
もう国なんて概念やめちゃえばいいのに。一部の既得権益者のためにしかメリットないんだし。



あ、昨日やっと警察の内見があり、これでID取得にまた一歩前進。
次は3ヵ月後のコミューンからの招聘を待つというフェーズになりました。



写真は、コミューンに行く日の早朝5時の家の前の通り。




そしてこちらは夕方の近所の通り。すっかり春の気候です。