ひかるside





つまらない。


どうしてこんな退屈な世界で生きなきゃならないの。


毎日おんなじことの繰り返し。


寂寞の感情を抱く日々。




だから終わらせようとした。


この日々を。


こんな人生に未練も愛惜の念を抱くこともない。


そう思っていた。






「やっぱり無理だ...」






わたしにそんな勇気はなかった。



その後学校へ向かうことも部屋から出ることもなくなった。





それから半年後。


母に勧められた精神科へ行くことになった。


そこで出会った。


彼女に。




はじめにすれ違ったときは彼女の名前も年齢も

なにも知らずにただただ彼女の瞳に惹かれただけだった。




その次に見かけたときは精神科の待合室。


物憂げな表情で座る彼女を見てなんとなく同じだと思った。


だから知りたいと思った。


そこから精神科へ行くたびに彼女の姿を探すようになった。


でもなかなか彼女に会うことはできなかった。





「あのとき話しかければよかったな。」





そして中学2年生になったある日。


また彼女に会うことが出来たのだ。



「なんて話しかけよう。」



あれだけ会いたいと願っていたのに

話しかける言葉も考えずにいた。





「あの...」


(...)


「あの...すみません。」


(...)




はじめに会った時と同じように彼女から反応はなかった。




「すみません...」


(...はい?)


「手話...?」


(なにか?)


「へ?」

「あ、私森田ひかるっていいます。」

「精神科で見かけてすこしお話してみたくて...」


(すみません。耳が聞こえないんです。)

(紙に書いてもらってもいいですか。)






そんなこんなの初会話。





「手話覚えよ。」