今日から休日。平手は学生だからもちろん休みで、今週はねるも2日間休みだ。








朝、目を覚ますのはいつも平手が先。ねるの腕の中で目を覚ます。








そうしていつも、ねるの寝顔を拝み、幸せな気分に浸る。








今日もまた可愛い寝顔が見れると思ってねるの顔を見ると、思いっきり口を開けていて、思わず吹き出した。








『なんて顔で寝てんの。そんなのもまた可愛いけど。』








(おいおい。こんな間抜け面が可愛いって?友梨奈、お前大丈夫か?)








『るっさい。バリーは黙ってて。』









聞こえてきたのは別人格の声。こんな風に話が出来るようになったのも、最近になっての事だ。








これはメンタルが安定してきた証拠だと、平手は勝手に思っている。








彼とは意見が割れることが度々ある。まるで、妹を守る兄のようだ。









平手が独り言を言ってもねるが起きる気配はない。仕方なく、朝ごはんを作るとする。








平手が料理が苦手ながらも朝ごはんを作っているのは、ねるが起きないからでもある。









平手は部屋を出て、キッチンへ向かう。そして、料理サイトを開き、冷蔵庫の中にある食材を入力する。








自分の知識と感覚で作ろうなんて、自殺行為だ。笑








サイトを見ても失敗するものはするが、味は大丈夫。と平手は信じてる。








一方のねるは、またもや1人で目を覚ます。







 

(またてっちゃん居ないじゃん。)









ねるは起きたら隣に平手がいることを密かに楽しみにしている。なのに、毎回毎回平手は居ない。








それが自分が起きるのが遅いせいだとは思いもしないだろう。








ねるはため息をつきながら、リビングへと向かうと、平手はキッチンで料理をしている。








「てっちゃん、おはよう。」









ねるの声にようやく手を止め、ねるの存在を確認した。








『おはよう。もうすぐ出来るから座ってて。』









平手はそう言ったが、ねるは無視してキッチンに向かう。料理している平手の背後に気づかれないように近づいていく。









「ねぇ〜、てっちゃん。」









ねるは背後から平手のお腹に手を回し、肩に顎を乗せた。








『ん?なに?』









「朝起きるといっつもてっちゃん居ないの寂しいな〜。」








ねるが少し甘えたような声でそういうと平手は料理の手を止め、振り返った。







 
『だって、ねる起きないんだもん。それに朝起きて朝ごはんがすぐある方が良くない?』









平手はその言葉とともに料理を再開する。









ねるは、それはそうなんだけど、、、と少し不貞腐れた様子で平手から離れリビングにあるテーブルへ移動しようとした。









もっと朝に強くなろうなんて考えていると、突然後ろから抱きしめられた。








『ねる、おはよう。愛してるよ。』









チュッ









耳元で囁かれた言葉と頬に伝わった衝撃に若干フリーズした後、後ろを振り返ると平手は知らん顔で料理を続けていた。









昨日あれだけ苦しんでいた人が、また人に愛してると伝えられるようになっている。









このことがどれだけ凄いことか。苦しみを乗り越え、または抱えながらもねるのことを愛してると言ってくれた。









この幸せは手放しちゃいけない。絶対に。この先何があっても、彼女の味方でいると誓った。






 


もし彼女の身に何が起ころうとも。









それでも、ねるの愛している人にはまだまだ問題が多い。どこかそれにすら愛おしさを感じる。









しかし、ねるには彼女のどの人格も愛する自信がある。だから、胸を張って言える。










「てっちゃん。ねるも愛しとーよ。」










この先何が起ころうとも、ね?