不意に僕の胸に鋭い痛みが走った。
意識を保とうと試みるが、そんなこと到底できっこない。
なんせ、僕はただの高校生なのだから。
このような非日常にだってなぜ巻き込まれなければいけないのか、
今でも理解に困るところだ。
あぁ、疲れた・・・意識が遠のく。
俺どうなるんだろ・・・
全身から力が抜け彼の意識はそこで途切れた。
「ぶはぁっ・・・はぁ・・・はぁ・・はぁ。」
またこの夢か、もういったい何度目だろう。
最近悪夢にうなされているのだ、それも毎回きまって同じ夢をみる。
このような経験は、今に始まったことでないので別段気にしているわけではない。
しかし、いままで見た夢とは違い自分になんらかの機会が起こることで夢が終わるというのは、いままでのと少しばかり違うもののようだ。
彼はそんなことを考えながらベッドに横になっていた。
今の季節は冬。時間は午前7時を少し回ったくらいだろうか。
ベッドの外が寒すぎてなかなかベッドからでられないでいる俺に母から声がかかった。
「タクヤーご飯できてるわよ、はやくいかないと学校に遅刻するわよ?」
タクヤというのは俺のことだ。西村拓也(ニシムラタクヤ)
いたって平凡な名前だ。
俺がベッドのある自室から朝食の用意されているリビングルームに向かうとそこにはちょこん、と椅子に座る少女の姿があった。マユミだ小田真弓。
こいつとは、幼馴染で生まれたときからの付き合いだ。同じ時間同じ病院で生まれるという軌跡を果たしているらしい。しかも家は隣ときた。もしここがラノベとかの世界なら幼馴染フラグktkr!とか、なるのかもしれないが。こいつはそんな幼馴染という幻想をぶち破ってくれる。
「おい、タクヤァ、さっさと飯食って学校いこうぜ。」
ふっ・・・こいつなんでこんなに男勝りなんだろ・・・
「おぅ、今食うからまってろ」
俺はそんな言葉をマユミに吐き味噌汁をすする。
なぜ、マユミが家にいるかというと。マユミの両親は外国へ出張中で約半年預かっているらしい。俺的には騒々しくなるのでマユミを預かるという案はあまり良く考えてはいなかった。
現にこうして俺にお節介を焼くマユミを俺は鬱陶しくさえおもっているのかもしれない。
時間は7時30分を回ろうとしていた。
学校へ行く支度を整えた俺はテレビを見ているマユミに行くぞ、と声をかけ家を出た。
外は寒かった。マフラーをしてコートまで羽織っているのに寒い。
マユミはマフラーだけだ。コートを羽織らないのは足を見せたいらしい。
彼女はそこまで身長が高くなく150センチ前後で高校生としては少し小さめなのだが、自分の足の美しさには自身があるらしい。
その自身がどこからくるのかは不明だが。
俺の通う私立桜ノ宮高校は3年前に新設された進学校だ。なぜここに入ったかというと特に理由もない。成り行きとでも言っておこうか。
校門にたどり着くと不意に腹にパンチを受けた。そのパンチは別に本気というわけでもなく。男子同士がじゃれあう程度の弱いものだった。
「おぉーっい、朝からお二人で登校とは熱いですなぁ」ニヤニヤしながら男が言う。
なにが暑いだ。今は冬だ寒いんだ。余計な体力を使わせないでくれ。
そう思い、腹パンしてきた男をスルーしようとするが。そいつはどうやらそれを許さないらしい。
「うへぇ、無視はないんじゃねぇのぉ、タクヤんー」
「んだよ、朝からめんどくせぇことすんなよ」そういいながら、茶髪のくせっ気のある紙をワックスでツンツンにしている親友の顔を見る。
「おうユージ!おはYO」マユミがあいさつ
「YO!YO!おはYOマユミーイェア!」なぜラップ口調、、、という突っ込みは体力を使いそうなのでセーブした。
朝から腹パンをかましてきた男の名は神原祐二(カンバラユウジ)親友だ。いや、悪友というのが正解か。こいつとの付き合いは高校に入ってからだ。
知り合ったきっかけを話すのはまた、今度にしよう。
俺たちは3人で教室を目指した。
教室に着いた俺たちは他愛もない会話を交わし。そろそろホームルームが始まりそうなのを俺が気づき2人を席に帰した。俺の席は窓側の一番後ろ。ユージは真ん中の列の一番前。マユミは俺の前の席だ。
一時間目は古典の授業だった。内容は国語成績優秀な俺にとっては退屈なものであり、授業に集中せずに他の事を考えていた。
気が付くと俺は走っていた。体の疲れからしてすごく距離を走ったみたいだ。暗闇の中を俺は無我夢中で走っている。とまってしまうと死んでしまいそうで、それでいて、何かに追われている様な、そんな感覚だ。
今の気持ちは恐怖と焦りだ。突然、右足に痛みが走る特に足首らへんが痛い。
俺はバランスを崩しぶっ倒れる。右足を確認する。俺は驚いた
右足の足首から下が無い!流血は・・・していないようだ。
しかし、そんなことを確認している間にヤツはそこまで迫っていた。
ヤツ、と俺が指したそいつはオノみたいな何かをもっている。色はダークブルーでなぜ目視できているのかは分からない。形は太ったおじさんみたいなので足が短く横が程よい具合に出ている。普段ならそいつを見て笑ってしまうところだろうが、今はそんな場合ではない。
そいつは明らかに俺を殺そうとしている。
無言でおっさんはオノを振り上げた。そして、躊躇いも無く俺に振り下ろした。
頭に激痛が走る。前身がズキズキ痛む。神経が痙攣を起こす。
そこで俺は絶命した。
ぼんやり視界が開ける。
ここは、教室だ。古典の教科書を俺は握っている。黒板を見ると数学の公式がかかれていた。
え、数学?たしか数学は4時間目のはずじゃぁ・・・。
時計を見ると既に4時間目が終わろうとしていた。
今まで俺は、何もしていたんだ・・・?
だめだ、思い出せない。
思い出そうとすると頭の中に白い煙のようなものが出てきて思考をさせようとしてくれない。
まるで、脳が思い出すことを拒んでいるかのように。