金曜夜のバレエが、最近ぜんぜんうまく踊れません
バーレッスンまでは調子よかったのに、
センターに移ったら…ぜんぜん出来ないし覚えられない![]()
この間の金曜日に苦戦したのが、
3拍子のワルツ・ステップ。
普通のワルツ・ステップは別に問題ないのですが、
説明しにくいぐらい、複雑で…。
アラベスクから裏返しに3ステップし
プリエ・パッセからア・ラ・スゴンドに足を上げながら3ステップ
…と書くと分かるんですけど、
なぜか行動に移せない![]()
曲の途中で頭を抱えて立ち止まる…という
ありえない状況に陥ってしまいました
![]()
しかも右方向へのステップはなんとかクリアしたのに、
左側から始めると、もう全然できず。
先生のお手本を見ても理解できるのに
自分でやるとめちゃめちゃになり、
ますます落ち込んでしまいました。
いま、ためしに家でトライしようとしましたが
やっぱり出来ないんですよ。
そもそも、何がどっち向きだったかすら思い出せない。
と、金曜は2回連続で「ぜんぜん出来ない」という状況で、
大好きな先生なのに、最近かなり苦しくなってきました![]()
なぜこんなことになったかというと、
金曜のそのクラスは人数が少ないときが多くて、最近は
○プロ・ダンサーの女の子
○お昼間も通っている上手な女の人
と私…という、私にとっては分の悪いメンバー構成が多い。
ハッと気がついたら、
そのクラス自体のレベルがガンガンに上がってしまっていて
一緒に通っていた人たちも、金曜夜クラスから抜けてしまってました。
私は能天気に「ほかの2人とレベル違うけど楽しいなあ」と思って
続けていたのですが、
最近はクラスのレベルがどんどんつりあがっている気がします![]()
先生の説明もほとんどなし。
お手本を踊ることもなく、パの名前のみでアンシェヌマンを説明することも。
簡単なものなら私も分かるのですが、
昨日はこのパターンがかなり多くて泣かされました![]()
木曜も同じ先生なので、木曜に通おうかな…と真剣に検討中。
このままいくと、あまりにダメダメすぎて、
せっかくの金曜夜なのに落ち込みモードに突入することが多すぎます。
これじゃバレエ嫌いになってしまうよ~~~![]()
と、今週も金曜夜から気分的にダウン。
元気を出すために、またまたDVDを観まくっております。
今夜も大好きなこの作品の紹介を…
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【ル・パルク Le Parc】
(5550円/輸入版DVD/FAIRYではここで買えます
)
振付:アンジュラン・プレルジョカージュ
初演:199年、パリ・オペラ座
DVDの出演(収録は1999年):
イザベル・ゲラン、ローラン・イレール
来日公演(2008年):
レティシア・プジョル、マニュエル・ルグリ
エミリー・コゼット、ニコラ・ル・リッシュ
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パリ・オペラ座は数多くのコンテンポラリー作品を
生み出すことに力を注いでいるバレエ団のひとつですが、
そのなかでも活躍している振付家のひとりが
プレルジョカージュ(1957年・パリ生まれ)です。
この「ル・パルク」で成功した彼は、
「メディアの夢」「カサノヴァ」など、
その後もパリオペのために様々な作品を振付けています。
彼の作品に共通するのは「エロスと暴力」と言われています。
私はDVDでほかの作品も観ているのですが、
彼の作品のなかでも「ル・パルク」では
直接的な「エロスと暴力」は描かれないため、
一見、作風としては、異なるものに感じられます。
でも、精神的な意味ではやはり「エロスと暴力」は
強く描かれているように思います。
「クレーヴの奥方」からインスピレーションを受けて作られたという
この作品には、多くのコンテ作品と同様に
しっかりとした物語があるわけではありません。
中心になっているのは「恋を拒む女」です。
大まかにいえば――
18世紀のフランス。
男と女が出会って惹かれあうが、
その恋心をあらわにすることができないため、
お互いの視線や素振りだけで、その心を密かに交し合う。
しかし、次第にその心は絶頂に達し、
ふたりは気持ちを交し合う
――というのが、全体のストーリーでしょうか。
全体は3幕に分けられています。
ざっくりと分けてみると
1幕(朝のイメージ):
庭園で、多くの男女がお互いを値踏みしあい、
スリリングな恋のゲームを仕掛けあっている
(椅子取りゲームを用いた振付になっています)。
その中から、主人公の2人が出会って惹かれあい、
誘惑するような素振りを見せる。
2幕(昼~夕方のイメージ):
女性たちの誘惑に乗った男性たちが
彼女たちとたわむれあう。
そこには参加しなかった主人公の女が
目隠しされて登場し、
主人公の男から熱いアプローチを受けるも、
彼女はそれを拒み、身をゆだねない。
3幕(夜のイメージ);
星空の下、何組かのカップルが抱き合う。
主人公の女は下着姿になり、
主人公の男と激しく求め合う。
熱いパ・ド・ドゥの最後に、ふたりは庭園から姿を消す。
幕の最初と最後には、
不気味で機械的な様相の「庭師」が登場します。
明確な物語があるわけではないので
その解釈は、各人にゆだねられますが、
大まかにいえば、このような流れに乗った作品です。
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私はこの作品が大好きです。
昨年の来日公演が、日本での初演だったのですが、
これはルグリ×ピジョル、ル・リッシュ×コゼットの2組とも
観にいきました。
そこでDVDを購入し、それ以来、ずーっと観ています。
①振付の面白さ
いわゆるクラシックなバレエ作品にはないような
振付の言語が用いられているのが特徴です。
男と女の心理、
とくに性衝動に対する心理が、
美しいポール・ド・ブラやパで巧みに表現されています。
手首を前に押し出したり、
相手の胸に置いた手をひるがえしたり、
自らの手を下半身に差し伸べたり、
口に手を入れたり・・・
私には、これらの振付が、
さまざまな手法で「愛の枯渇」や「愛の受け入れ」、
また、心とは裏腹に「愛の拒否(せざるを得ない)」ことを
表現しているように感じます。
全体的には
男が誘い、女は拒むが受け入れる、
という18世紀のフランス小説にあるような心理戦が描かれるため、
その心理を、身体まるごと使いながら表現しているところが
とても面白いです。
「これは何を意味しているんだろう」と
いちいち考えながら観るというよりは、
観終わったあとに気になった振付の意味が感覚的にとらえられる…
というような観方ができるように思います。
また、プレルジョカージュに共通するテーマの
「エロスと暴力」が、心理的な意味で表現されています。
たとえば具体的に殴るとか血を流すようなシーンはありませんが、
さきほど「心理戦」と書いたように、
「仕掛ける男」→「拒む女」という構図には、
ある種の精神的な暴力性も垣間見られます。
ただし、ここで表現されているのはあくまで「恋愛」なので、
それが喜びに変わる、という意味で使われています。
また「エロス」という部分は、わりと具体的に表現されています。
とくに、かなり具体的に仕掛けていく2幕は、
悦びに至る直前で、少々、ウェットな振付も感じられます。
これが第3幕になると、女が受け入れることを決めるので、
開放的なエロスをあらわす振付に転じます。
かなり有名なパ・ド・ドゥですが、3幕ではふたりがキスしながら
ぐるぐると回り続けるという振付もあります。
②心理劇の要素
「演出」にもかかわってくるのですが、
どれだけ緊迫感をもって、男女の心の機微を描くか?が
重要な要素になってきます。
この作品は、基本的に「心理劇」です。
男の、女の、心がどう移り変わるのか?
どう誘って、どう拒み、どう受け入れるのか?が、
振付とダンサーの演技によって、丁寧につづられています。
私が女だからかもしれませんが、
主人公の女性の心理には、かなりハラハラさせられます。
最初の出会いから男に惹かれているものの、
それを拒まなくてはいけないと思っているから受け入れられない。
まわりの女性は、積極的に男を受け入れているのに
自分はそれができないというジレンマ。
最終的には、ある意味、追い詰められた女が、
男の愛を受け入れますが、
その踊りは、時に解放的であり、時に緊張感あふれるもの。
責める側と受ける側の心理的な緊張感が
この作品の面白さでもあります。
また、幕の最初と最後にあらわれる「庭師」の存在。
庭師が登場するシーンのみ、現代的で機械的な音が使われて、
私はこれは、主人公たちを夢に誘い、同時に現実に引き戻す作用を
意味しているように感じられます。
恋愛の最中に、誰かに操られているみたいに
自分でもなぜそんな行動をしたか分からない瞬間ってありますよね?
と同時に、自分でも驚くくらい、ハッと我に返る瞬間もあります。
その象徴的な存在として「庭師」が用いられていて、
庭師の存在が、主人公たちをどこへ連れていくのか、という部分でも
緊迫感に役立っているように思います。
また、コミカルな部分も多いです。
1幕では主人公たちが出会う直前に、
「椅子取りゲーム」が効果的に用いられていて、
そこでは、くすりと笑ってしまうような演出も用いられています。
男女の恋愛は、ハマっている当事者以外が見ると
時にコミカルに感じられるものですが
そのあたりの心理も、絶妙に用いられているのかもしれません。
③ダンサーによる演技の違い
とくにダンサーごとで「目線の表現」に違いが出る気がします。
上で述べたように「心理劇」なので、
たとえば「女を誘う」にしても「どれくらい強く誘うか」は異なります。
相手を組み敷くほど強く誘うのか、
優しくいなすように誘うのか、深い愛情を示して誘うのか…
同じ「誘う」という行為ひとつとっても、違ってきます。
このような表現方法が、ダンサーの個性によって異なるので
それも面白いと感じました。
あくまで私見ですが、男性では
イレール=冷静さを装っているが実際には情熱的な主人公
ルグリ=大人同士のラブ・ゲームを楽しんでいるシニカルな主人公
ル・リッシュ=恋によって現状を打破したい繊細なロマンティストの主人公
…というように見えていました。<
私はなかでも、ニコラ・ル・リッシュの踊りが好きです。
もともと彼のファンですが、この作品でさらに好きになりました。
相手役が、エトワールになったばかり(当時)の
エミリー・コゼットだったというのも大きいかもしれませんが、
彼の演技はとてもロマンティック。
たとえが悪いんですが、少女マンガの主人公のように、
「周りに合わせてラブ・ゲームを楽しんできたが
心の底では、本当の愛を求めている。
彼女と出会った最初は、ゲーム感覚で仕掛けていたが、
最後は本当の自分に気付かされて、心から彼女を求める」
…というような男性像に見えました。
彼の強靭な身体に対して、あまりに繊細な表情のギャップが
そのあたりを、くっきりと浮き出して見せていたのかもしれません。
④音楽の使い方
モーツァルトのピアノ協奏曲「第23番 ケッヘル488(イ長調)」
第2楽章のアダージョが、クライマックスで使われています。
私はもともとこの曲がとても好きでCDも持っていますが、
「ル・パルク」を観てからは、これを聴くたびに
第3幕のパ・ド・ドゥを思い出してしまうくらい。
それくらい、選曲が見事で、
この振付のために作られたかのように、
見事にマッチしています。
使用されているのは、モーツァルトが中心で、
モーツァルト自身、
この作品の舞台になっている18世紀の宮廷音楽家でした。
ちなみに、実際に18世紀の社交界では、
男女の恋愛ゲームが日常を楽しませるもののひとつとして
日常的に行われていたはずですので、
彼らの背後にも、モーツァルトの曲が流れていたかもしれません。
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探してみたら、You Tubeに一部アップされていたので
気になる方は以下をどうぞ。
【第3幕のパ・ド・ドゥ】
これは先日のバレエ・フェスでも
マラーホフ&ヴィシニョーワによって踊られた
第3幕のクライマックスです。
以下で踊っているのはイレール×ゲランです

かなり有名になったシーンですが、
これを生で観たら、やっぱり圧倒されます。
隣に座っていたおばあさまが「まぁ……綺麗…」と
つぶやいていたのを印象的に覚えています。
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実は来日公演のときの「ル・パルク」は、
2回とも休日に観にいったのですが
後ろのほうの席とかちょこちょこ空いていて
「うわ~~勿体ない!」と思ったのです。
それで来年、パリオペの来日公演があると聞いていて
ほんとは「ル・パルクやらないかぁ」と期待していたのですが
演目は「ジゼル」と「シンデレラ」に決定…。
大好きになった作品なので、
ちょっとでもファンが増えるといいなぁと思って書き始めたら…
へんな時間に寝てしまったせいか、
夜中3時過ぎてもぜんぜん眠くならない
そんなわけでまたまた長文お許しを…

