お盆期間の延長線で、久しぶりに日本のBLドラマを見てみようかな…と思い、FODで作品を探していました。
そんな中、何となく気になったので、「オールドファッションカップケーキ」を見ました。
2022年フジテレビ放送の作品です。佐岸左岸さん原作で、「このBLがやばい!」2021年度版コミック部門2位にもなったそうです。
全部見終わった後で、制作発表記者会見の様子やメイキングを見ましたが、やはりコロナ禍の雰囲気を残したような状態でした。クランクイン時もメインCP・スタッフはマスク着用、会見時にはメインCPの間にアクリル板によるパーテーションなどなど。
改めて、すごい時代を生きてきましたね…。
この直前には「HIStory3 那一天~あの日」を見ていたので、高校生のラブストーリーから社会人のオトナな関係へと、落差がすごかったのですが、心の奥底がじんわり温かくなるような作品でした。
メインキャストと第1話のあらすじ
野末 草苗(のずえ さなえ)
…武田航平(たけだ こうへい)
外川 実(とがわ みのる)
…木村達成(きむら たつなり)
※ドラマ内では名字しか出てきません
メインCP①野末 草苗(のずえ さなえ)
39歳。外川がいる営業部の課長。昇進の依頼を断り続けている。部署内の人間からはかなり慕われていて、仕事もできる。
公式インスタによると、「癒し系で周囲に愛されているが、出世欲や結婚願望がなく、単調な日々に憂うつさを感じている。」とのこと。
演じる武田航平さんは、これまで「仮面ライダーシリーズ」を含む数多くの作品に出演したり、声優として「ファイナルファンタジーXII」の主役ヴァン役を演じたりされています。
メインCP②外川 実(とがわ みのる)
29歳。野末の部下。仕事ができるし、野末を慕っている。
「少し無愛想だが、信頼が厚い。野末を入社時から尊敬し、密かに恋心を抱いている。」
演じる木村達成さんは、2025年に(様々な点で物議をかもした)日曜劇場「キャスター」で、報道番組の編集スタッフである尾野順也を演じていらっしゃいます。
「寝て、起きて、仕事をする。それだけの毎日。それだけの毎日を、好きで選んでいる。」
39歳の野末は、毎日同じことの繰り返し。家事もそつなくこなします。
テレビで人気のスイーツを見て、美味しそうと思うものの、おっさん一人で行くのはないだろうと思っています。
仕事もできるイケメン上司、取引先からの信頼も抜群なのに、独り身でいることを部下に訝しがられる野末。
能力が高く、部長に昇進の話が出ているが辞退します。同期の霧島部長から合コンの誘いがあっても、即断る始末。
部下の外川には、屋上で喫煙している時にタバコを止めるよう言われます。
「前はもう少しガツガツしてたじゃないですか。まだ39なんですから」
「俺は野末さんと仕事をするの、楽しいです。だからっていうんじゃないですけど、野末さんにも楽しく仕事してほしいです。」
そう言ってくれた外川に、野末は美味しいお菓子のお店に連れていくよう頼みます。
取引先への謝罪の帰り、女子高生が遊んでいるのを見て、女の子同士のハッピーな感じをうらやましいという野末。ガラケーで外川を撮影しながら、こう言います。
「写真撮ったり、パンケーキの行列に並んだり、恋バナしたり、なんでもないガールズトークで大笑いしたり、純粋に楽しそうだなぁって。」
「もし俺が女の子だったら、戸川と恋バナして、キャピキャピ自撮りしたかったかも。」
外川に時間を聞き、昇進を断る電話を霧島部長にかける野末。
「俺より優秀な奴ならいくらでもいるし、俺はもう何ができるかもわからないし、そもそも、何がしたいのかもよくわからないし…」
これを聞いた外川は、自分の面接を思い出します。
実はほぼ同じことを面接時に言った外川。その頃から、外川は野末に対してほのかな思いを抱いていたのでした。
そんな外川は、「女の子ごっこ」をしようと野末を誘います。
パンケーキの店に野末を連れていき、二人は話します。
「野末さん怖いんでしょ?恋愛するのも、昇進して新しい仕事任されるのも、責任が重くなるのも。こうやってパンケーキをたべるのすら怖いんでしょ?」
「四十路手前で、仕事しかしてこなかった自分に気づいて、でも何をしていいのか、何をしたいのかも分からなくて。若かった頃みたいに、素直に分からないって人に言えないことが怖くて。分からないまま新しいことをして失敗するのが怖くて。このまま30代を終えようとしていることが怖くて。今まで仕事に情熱を注いできたことまで後悔してるんでしょ?」
殴られる覚悟で言った野末の心の分析が、結構当たっていた様子でした。
隠そうと思っていたことが外川になぜバレたのか。それは「好きだからです…野末さんと仕事をするのが」なんて本心がチラチラ見え隠れする外川。
こののち、更年期障害を防ぐため、野末は外川の発案で、アンチエイジング(という名のスイーツを食べる日々)に取り組むことになりました。
見どころ①外川の「思い」は面接日から
就職活動時に、外川はどちらかと言えば虚無感というか、自分に自信が持てない状態でした。
だから「自分では何がしたいか分からない」なんて面接で言ってしまいます。
そんな悲惨な面接後。会社の前で、野末は外川を捕まえ、バカ正直に話したことを褒めます。
「自分に言い訳せず、真正面から後悔できるって、長所だよ。後悔からしか生まれない成長や感動って山ほどある。例えば、自分を変えたいと思っている今の君とか。
後悔は幸福になるための糧で、人生の燃料です」
この一言が、外川にとってはうれしかった。野末に対する思いはここから始まりました。
この後、二人は飲みに行きました。
パンケーキを食べに行った日まで、野末はそんなことを忘れていました。
見どころ②野末の変化
こうしてアンチエイジングと称して、初体験のことを二人で体験することに。
飲み会の次の日。二日酔いの野末に、外川は二日酔いに効くスムージーを渡します。これも初体験。
徐々に、外川に対しての印象も変わっていきます。
これよりネタバレエリアです
見どころ③二人の変化・深化
野末は最初はいい部下だという認識しかありませんでした。
しかし、徐々に気持ちの中で変化の兆しが見え始めます。
「戸川に見捨てられたら悲しいし。もっと誠実に生きるよ」
「無趣味で無気力で、人生に不安を覚えているおっさんのことを、職場の上司ってだけでこうも優しくできるかなぁって。」
「まさか本当にゴマスリだったりして。だとしたら、ちょっと悲しいかなぁって。俺も戸川と遊ぶのを楽しいって思ってたから」
一方の外川はそもそも本気なのですが、それを巧みに見え隠れさせます。
「モテる男を好きになる方が、千倍辛いかもしれませんが」
「俺にはホワイトデー何もないんですね。」
そんな中、野末がふざけてガールズトークのまねを給湯室でし始める。
「ねぇねぇ外川くん、抱いて、ねぇ抱いてってばぁ
」
一瞬の間をおいて、外川は本当に野末をハグします![]()
「野末さんが言ったんでしょ?抱いてって。もっとガールになり切ってください。イケメンに抱かれたら、ガールはもっと可愛い反応するでしょ?」
見どころ④外川の思い
外川にとっては、野末は面接時からほのかに憧れる相手でした。
「野末さんは俺にとって、ただの上司なんかじゃありません。
すごく特別な人です。
職場を離れても俺の尊敬する人で、だからアンチエイジングも家に行くのも、夜中のメールも全部俺が望んだことです。」
それが爆発したのが、霧島部長発案で取引先の人たちとの合コンを終えた翌朝でした。
外川を連れて帰ってきて、そのまま泊まった野末に対して、筋トレ等の話をする外川。
いろいろな活動をしているのは、野末のおかげだといいます。
「俺も外川だけだよ。こうやって生きてきてよかったと思わせてくれるのは。」
それを聞いて外川が近づきます。一回は理由をつけて帰ろうとする野末ですが、外川はそんな野末を引き寄せ、キスをします![]()
「口説いてます。死ぬ気で口説いてました。いずれも気づいてもらえませんでしたが。」
「こんなことして、こんなひどい形でいうことになって、本当にすみません。
好きです
」
「これからも、普通の部下でいさせてください。」
泣きながら言う外川の様子が切なかったです。すごい思いがあふれたシーンだと思いました。
その後は二人がすれ違います。というか、どちらかと言えば野末が外川に対してそっけないシーンが続きました。
そんな中、ずっと昇進を断ってきた野末が、新たな部署のリーダーを引き受けるという噂が流れます。
居ても立っても居られなくなった外川は…
見どころ⑤二人の思い
外川は飲み会から野末を半ば強引に連れ出し、異動のことを聞きます。
一度は電車で帰ると言って一人で帰りだした野末を、後ろから外川が走ってやってきます。雨が降るかもしれないので、折り畳み傘を渡すためにやってきたのでした。
これまでも傘を渡してくれた戸川のことを思い出した野末は、彼を追って走り出します。
「このまま何もしない自分に戻れば、もう二度と外川は俺に笑いかけたりしない。だめだ。そんなの全然大丈夫じゃない。俺はただの上司にはなれない。可愛く笑いかけてほしい。俺のために怒ってほしい。俺のせいで泣いてほしい。喜怒哀楽、全部欲しい。」
「俺も、君が好きだよ。死ぬほど。」
「俺は忘れないし、君にも忘れさせない。同情なんかじゃない。怖かった。君が好きって言ったその先、どうなるんだろうって、分からなくて怖かった。ごめん。また逃げてた。
でも、君が隣にいない明日の方が、ずっと怖いって思った。」
「君が知らない新しい幸せを、俺も同じように知りたい。良くも悪くも、君の人生の一部になる自信がある。
君が好きだよ」
アラサーとアラフォーの恋愛ですから、思春期男子のような直情でくっついたり離れたりとかではないのですが。
それでも、外川の奥に秘めた思いの強さや、徐々に惹かれていく野末の感情の揺れ動きなど、非常に丁寧に描かれていたと思います。
最初はアンチエイジングと称してスイーツを食べに行く二人…というストーリーが面白そうで見始めましたが、最後まで心が温かいままエンディングを迎えました。
一般的な台湾BLドラマと比べて見劣りするところもあるかもしれませんが、ものすごく丁寧に作られた作品で、きっと多くの人が満足いくように仕上がっていると思いました。
















