最初にご連絡ですが、全編ネタバレエリアです。未視聴の方はご注意ください。
これまで、HIStory3 那一天~あの日 を4パートに分けて考察してきました。
今回は最終パート(第10話 6年後)について語ります。
ユー・シーグウ(于希顧)
何をさておいても、この話題に触れざるを得ません。
つまり、「ユー・シーグウの死」です。
初回視聴の時から怪しい感じはしたんですよね…。
第9話、同棲を始めて、初めてハオティンの親が家に来るから料理を作っているという何か幸せな流れなのに、曲調は暗め、なぜかスローモーションも入り…と。
振り返ってみると、このドラマはうまく伏線を張り巡らしていましたね。
第2話のこのシーンが伏線の一つでした。まだ2人が付き合う前です。前を見ていないシーグウがバイクに引かれそうになった時、ハオティンが助けました。シーグウは結構周りが見えなくなるというのを暗に示してくれていました。
直前に電話で「財布を忘れているから、途中で落ち合おう」といった後にシーグウが事故にあったわけで、これもハオティンの心の闇を増幅させてしまう一因になっているかもしれません。
少なくとも、そのタイミングで電話をしなければ、あるいは途中で落ち合うという提案を自分がしなければ、シーグウが死ぬことはなかったかもしれませんから。
シーグウが不憫でいたたまれない…と涙した視聴者さんもいたはずです。実はユー・シーグウを演じたホワン・ジュンジー(黃雋智)ですら、最終話で涙したようです。
そこで、視聴が終わった後のファンミーティング?会見?のような場所で、彼がどのように語っているかをご紹介します。心に傷を負った視聴者さんに少しでも彼の思いが届くことを期待します。
(英語字幕のみあります。もっと画質がいい動画もあるのですが、そちらには字幕が出ないもので…。)
ハオティンに、シーグウは何と言いたいと思うか?
ユー・シーグウの隣に、シャン・ハオティンがいてくれて、
(演じたソン・ウェインを見ながら)
あなたは彼にとても幸せで幸運な人生を与えてくれたと思う。
ユー・シーグウは、本当に幸運な人だった。たくさんの人に愛された。
シーグウは、死の直前に、両親にも空を見上げて友達と遊んだことを幸せそうに報告していました。第9話では本当に満ち足りた気持ちに浸っていることが分かります。残念な結末ですが、愛する人と一緒に過ごすことができて、幸せで満ち足りた気持ちだったと思います。
ホワン・ジュンジーのコメントを聞き、ソン・ウェインはたまらず一時退席して涙を拭きに行っていました。彼はシーグウとの思い出について、「自分だけの秘密だ」とも言っていました。
同じシーンでは、このようにも言っています。
いつか必ず、星に一番近い場所へ連れていく。俺たちの姿を見せよう。
これは、第6話でシーグウが言っていた「亡くなったら夜空の星になり、自分たちを見守る」という考えを踏まえたものです。ヒマラヤ山(=星に一番近い、世界で一番高い山)というのはここから登場する話ですが、10話につながる伏線でした。
シャン・ハオティン(項豪廷)
悲惨なのはシャン・ハオティンです。
あんなに陽キャの塊だった男が、6年後には感情を無理やり抑えた男になっていました。というよりも、シーグウとの思い出を心の奥底に無理やりしまい込んだ、といった方が正しいかもしれません。
6年間の変化
①国立中央大学を出て、国立台湾大学(院?)に通っている
②彼女(台湾大学の先輩)もいるらしい
③登山を始めた(シーグウによく似た後輩がいる)
④まもなくスタンフォード大学に留学する
①に関して、シーグウとの約束を守っているとも考えられます。第6話でシーグウに「物理系を目指す、絶対に後悔しない」と言ったので、その誓いに従っているのかもしれません。また、シーグウがやりたかったことをひたすら追い求めているとも取れます。
③と関連して、シーグウは「死んだら星になり、そこから生きている人を見守る」と言っていました。だから登山をして、自分を見つめてくれているシーグウに会いたいのでしょうし、宇宙に行けばシーグウに会えると思っているのかもしれません。
あいつは18歳で時が止まっている。でも俺の人生は止まらずに続いていく。あいつのそばにいたくて、より星に近い山を登り続けていたんだ。手を伸ばせば触れられると思ってさ…。でも違った。何をどうやっても、距離は縮まることはない。むしろ広がる一方だ。あいつは18歳のまま、俺だけが変わる。怖いんだ。怖くて仕方がない。
シーグウを失った辛さを、何とかして乗り越えようとする苦悩をボーシャンに語ります。
初回に見たとき、本当に辛い気持ちでいっぱいになり、ハオティンと一緒に泣きました。そんな関係で、「もう10話は見られない」という人がたくさんいることも知っています。辛いドラマだ、と思いました。ところが。
すべての解決にはボーシャンがいる
冷静に振り返ってみると、那一天の主要登場人物(と多くの視聴者)の苦悩や困難を乗り越える手助けをしているのは、いつもボーシャンだということに気が付きます。
①シーグウロスのハオティンを救う
思えばハオティンの横には、いつも兄弟分のボーシャンがいました。ハオティンがシーグウのことを好きになれたのも、元はと言えば最初にボーシャンが「ジーガン(つまり男)が好きだ」と告白したからであって。
そのおかげでハオティンも、自分のシーグウに対する気持ちをはっきりと認識して行動することができたのでした。
そしてその友情は6年たっても変わることはありませんでした。
シーグウの遺品を見ると、思い出がよみがえり、恋しさのあまり心が壊れそうになるハオティン。「このままじゃ生きていけない。一人でどうやって生きていけというんだ」と語るハオティンに、
「俺たちがいる。一人じゃない」
こう言ってあげられるボーシャンの男気よ。
「シーグウのことは忘れず、とにかく前に向かって進め」と言ってくれるボーシャンのおかげで、ハオティンは立ち直ることができたのでした。
②父子の確執を持ったジーガンを救う
第3パートでは「親子の確執」が最大のポイントでした。
最初の彼氏の時に父親と反発し、それ以来実家には帰れていないジーガン。
何とか家族の和解を勧めたいボーシャンは、断られても毎年毎年ジーガンの実家に贈り物を続けていました。その甲斐あって…。
ボーシャンの諦められない気持ち、そしてジーガンを思う気持ちが、ついに同性婚反対派のジーガン父に届いた瞬間でした。ジーガン一人では成し遂げられなかったことを、ボーシャンは愛の力で達成したのですね。
③初恋におびえるシーグウを間接的に救う
ボーシャンは元々ハオティングループ。当初はシーグウとは敵対関係にありました。仲良くなっていった後、ボーシャンが直接的にシーグウを救うシーンはないのですが、しかし彼がいなければシーグウとハオティンは幸せな生活を送れなかったのです。
シーグウにとって、これが初恋。自分の気持ちとどう向き合えばいいのか、自信がなかった時に、ダブルデートに行きました。
彼の思いを察知し、直接的にアドバイスを上げたのはジーガン。しかし、そもそもダブルデートに行きたいといったのはボーシャンでした。メインCP単独旅行で会ったら、きっと二人の気持ちはすれ違い続けていたことでしょう。第9話で二人が初めてのSEXをした影の立役者はボーシャンでした。
ところで、最後にボーシャンがハオティンにこんな質問をしました。
「同性で好きなのはシーグウだけといったよな?
うり二つの後輩に、なぜ心を動かされなかったんだ?」
それに対して、ハオティンはこう答えました。
彼はあいつじゃない
第2話で、徐々にシーグウのことが気になりだしたハオティン。当初は、頬骨・まつげ・柔らかな唇…ジューシーだと、外見からシーグウのことを好きになっていきました。
しかし勉強を頑張る姿や、困難から逃げずに立ち向かう姿勢を知り、ついに自分のことを愛してくれるようになった段階では、もう内面を含めたシーグウの全てがいとおしく感じるようになっていました。
だからシーグウと外見は同じでも、そこに愛情を感じることはなかったのですね。
最後の詩の意味と、全体の感想
最後に中国語の詩が出てきます。この訳、字幕版でもいいのですが、Google翻訳にもかけてみました。二つを比べてみます。
時が経ち
君との思い出で
心は満ちていると気づく
かけがえのない
すべての あの日へ
(字幕版)
時間に押し流されて、心の中に大切にしている思い出も、すべて一緒に歩いたあの日のものだと気づく。
たった一つの毎日に
(Google翻訳版)
前半はGoogle翻訳版、後半は字幕版がいい感じです。
この二つの翻訳、そして終盤に、停車中のハオティンの前を人仁高級中学の男子CPが通った時、自分たちの思い出を振り返っていたシーンも合わせると、俺は以下のように受け取りました。
p.s. 現実世界の「二人」
偉そうなことを言ってきましたが、初回の視聴の時にショックを受けたことは事実。それを俺はどうやって立ち直ってきたか。
ホアン・ジュンジーの誕生日を祝うソン・ウェイン(ソン・ウェインのインスタより)
ソン・ウェイン(宋偉恩)とホアン・ジュンジー(黃雋智)って、現実世界ではこれでもか、というぐらい仲がいいんです。本当に付き合っているんじゃないか?というぐらいです。(お互いにインスタでいいねをしあったりしています。)
10話を見終わった後、生まれて初めて台湾の俳優さんのインスタ・facebookなどを見ました。youtubeも相当見ました。見すぎておススメにこの二人ばかり出てくるようになったので、台湾BLドラマ用のアカウントを作りました。
那一天の世界では、二人の生活は続かなかったけど、パラレルワールドの現実世界ではハオティンとシーグウはこうして仲良く生活している、と思い込んで立ち直りました。