職場でも、オフィスの場所や大きさ、デスクや椅子のサイズや質など、すべてにわたって上下差がついている。米国人は、日本人などと違って階級意識がハッキリしていて、住んでいる町、家、インテリア、出身学校、役所や会社の役職等々、学者の厳密な識別法によれば、十幾つの階層に分かれている。 ブリーフケースは、時計や靴、筆記具と同じ細かに神経の行き届いた選択をしなければならない。
身なりや持ち物にも、地位や収入の違いに従って、自然に秩序づけが出来上がっている。
初対面の相手の時計や靴、あるいは筆記具やネク夕イまで、ちらりとひと目で見ただけで自分との階級差を判断して、言葉遣いやマナーまで対応のやり方を決めるのが常識になっている。
そういう自己顕示の道具だから、ビジネスマン向きのマニュアルには「たとえ、サンドイッチを入れるだけでも、持ち歩いて、自分が高給取りのエグゼクティブであることを見せつけるようにする」と教えているのだ。
だから、たとえば、ホワイトカラーがさりげなく持ち歩いているブリーフケースも、ステータス•シンボルの意味を持っていて、ピジネスマンの名刺やIDカードと同じような役割を果たすわけだ。革は高度のなめしの技術により、肌触りが冷ややかに指に 吸い着くように柔らかでスムーズだ。
高級な製品には、必ず立派な金具がつきものになっているが、カール•ゼーガーは、使ってみると、金具の感触も快く手応えがある。
染色の渋さも、沈んだ黒の色に深みを感じさせる重厚さがある。
こよなきステータス•シンボルと一言うべきだろう。
