夫に離婚の話をした翌日


つまりおととい、私は結局朝までほとんど眠れず
もう起き上がる気力がなかった。


何もできないし、何も考えられそうもない。
夫が起きてもそのままベッドから出なかった。


しばらくして夫が起こしに来たが
私は頭が痛いと言って起きず
夫の朝食も作らなかった。


本当に起き上がる気力がなかった。



夫が開けていったカーテンをようやく閉めて
私はひとりの寝室で、ずっと目を閉じていた。



お昼になっても



夕方になっても…



目覚めているのか、眠っているのか
わからない状態で1日を過ごし
夜が来た。



その間、何度か夫が様子を見に来たが
私は水以外何も口にせずベッドに横たわり
ただただ心を無にしたかった。



夜になって、夫が隣のベッドに寝て
同じ空間に身を置いたら
私はまた何もかも夫にぶちまけたくなるだろう。



そう思って私は、眠剤を多めに飲んで 
夫が寝室に来る前に深い眠りに落ちた…



翌日(きのう)は、さすがに早く目が覚めたので
夫の朝食も普通に用意し
夫も何もなかったように食べた。



夫はその後も明るく普通に話しかけてくる。



何もすることのない自粛生活



夫が荷物部屋の整理をしようと言い出す。



夫は自分の大切なものは自宅と赴任先の両方に置いているため、必然的に私の持ち物よりも少ない。


なので私の趣味のものや大切なもの、
何となくとっておきたいものを処分したがる。



さすがに夫も手始めに私のものに手をつけるのは
遠慮したのか自分の昔の写真や手紙などの入った
段ボールを整理し始めた。



すると中から私が結婚前に夫に送った手紙や
カードなどの束が出てきた。



夫が笑いながら
「わぁ!こんな手紙が出てきた〜」
と言って読み始め、ニヤついている。



こんな気分の時に、よりによって
付き合っていた頃の手紙…



最悪…



私は箱の中からそれらの手紙を取り出して
シュレッダーにかけようとした。



するとその中に、明らかに私の字ではない封筒…



中を見ると



そこには見覚えのないカード



それは昔、夫と同じ職場にいたあの女からの
仕事を無事終えた後の thank you cardだった。



短い文面の中に、
大変な仕事だったけど☆☆さんと一緒に仕事ができると思うと乗り越えられた 
このプロジェクトが終わって会えなくなっても、
また別のプロジェクトで会えることを願っている、
という 明らかに夫を慕う気持ちが滲み出ていた。




私はまたしても平静を失った。



全身から血の気が引いていくのがわかった。



もう何も思考できない。


私は夫にその後カードを叩きつけ言った。


「こんなカード、後生大事にいつまでとっておくの?
しかも私の手紙と一緒にするなんて」


そして自分の手紙の束をシュレッダーにかけた…