女にはこちらのことはほとんど話さなかった。



メールで話さないと約束したし

敵に手の内を見せるつもりはなかった。



ただ

昨年末に弁護士に依頼して
公正証書作成請求をしようとしたこと

実行しなかったのは
弁護士名の郵便物が届くことで
あなたを苦しめることになるから

1年間、あなたのことを考えない日はなかったこと

それは伝えた。



私の目的は、女がどんな人間なのか
知ることだった。




たった1枚の自撮り写真と
何度かのメールのやり取り
そして夫との汚らしいラインのやり取りしか
女の情報がなかったから。




私が要求したわけでもないのに
女は自分の情報をこれでもかというほど
提供してくれた。




そして女の人間性が少しわかった気がした。



女の情報がないばかりに
私は苦しみ続けた。



興信所を使うことも真剣に考えた。


夫のパソコンを覗き見ようとして
夫からひどく責められ
ならばと直接 夫に女がどんな人間なのか
聞いても、夫の答えはのらりくらり
余計に私の心を痛めつけるものでしかなかった。



知らないということが
どれほど私を苦しめたか。



夫が2年半も心を奪われていた女が
どんな人なのか



妄想に妄想が膨らみ
破裂しては狂乱状態になる。



それを何度繰り返したか…




ようやく目の前で女を見ることができた。



そして女の語ることで
女のことがかなりわかった。



そしてこんな女のために
今まで悩まされていたのかと思うと
心底 自分が情けなかった。



夫も…

こんな女のために 
子どもたちの信頼を裏切ったのか…



こんな女のために
自分の人生に大きな汚点を残した夫。



女は子どもが自立したあと離婚すると言っていた。



離婚する前には自分の不利になることは
口外しないと思うが
その後はわからない。



夫も業界の噂になるリスクを抱え
子どもたちに知られる不安を抱えて
これから生きていくのだ。




こんな女のために











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