発覚から10日後
散々開き直って抵抗しながらも
ついに女と別れてくると言って
私が作った もう二度と夫と会わないという
誓約書を持たされ
出かけて行った夫。
結局 誓約書にサインをもらえなかった夫に
「今さらきれいに終われるわけないでしょ。」
と言うと 夫は 目に涙を浮かべ
「きれいに終わっちゃいけないのか」
と言った。
出会ってから初めて見る 夫の悲しみの涙だった。
それは私をさらに打ちのめした。
今まで私のために涙を流したことがあったのか…
涙を流すほど 彼女を愛していたのか…
「彼女のこと 愛してたの?」
「 … 愛してた …
でももう別れると言ってきた。
これでいいんだろ… 」
お互いに それ以上の言葉をなくし
鉛のような 重く冷たい空気の中で
2日間を2人で過ごし
私は1人 仕事のため 夫の赴任先へ
夫は1人(たぶん)で出張先へ
それぞれ出かけた。
2泊3日の出張を終えて
夫が赴任先に戻り、
また鉛の空気の中の2人の生活が始まった。
私は当然 不倫など許すことはできず
夫は 自分は悪くないと言う。
お互いの溝は深まるばかりで
どんなに話しても平行線のまま。
そんな中、離婚を主張する私に
ずっと 納得できないバカらしい理由で
離婚を拒んでいた夫が
なぜか急に観念したように
「そこまで離婚したいのか…
そんなに離婚したいって言うなら
離婚するしかないね…」
と言った。
それまでずっと離婚 離婚と言っていたのに
夫が承諾した途端
取り返しのつかないことをしてしまった気がして
茫然自失になって 何も考えられなくなった。
夫と離婚した後のことを考えようとしても
どこに住んで 何をして生きていくのか
まったく想像ができなかった。
離婚したら 子どもたちとの幸せな時間は
もう持てなくなってしまう。
そう考えたら やはり離婚など
できるはずもなかった。
そして 数日 また鉛の空気の中
2人で過ごし 私は1人自宅へ戻った。
たとえ鉛の空気の中の生活でも
2人から1人になると
例えようもない孤独感が押し寄せ
私の精神は崩壊寸前だった。
そして数ヶ月前まで夫が使っていたPCで
なんとか夫のメールを盗み見ようと
あれこれできる限りの操作をしていると
なんと、奇跡のように
夫のメールを 開き、最新のメール限定50通を
見ることができた…
そしてそこには あれほど女性とは別れたと
言い続けていた夫の書いたメールとは
まったく信じられない言葉が連ねられていた…