夫の不倫が発覚し、私は離婚しか頭になかった。

でも夫は、

離婚はしない。
彼女とも別れない。
なぜなら、自分が不倫したのは
私が夫を拒否し続けたから。
そして不倫は悪いことではないから。
でも子どもたちには言わないでほしい。
こういう理論はまだ一般的には
理解されないから

そう言い続けた。

そんなことを真顔で言われ続けた私は
もう、何が本当で何が嘘なのか
何が正しくて何が間違ってるのか
まったく考えることすらできなくなった。

一睡もできない日が続き、
怪我で仕事を休んでいる夫と
一日中同じ屋根の下
同じ空気を吸って過ごす苦痛…

生まれて初めて弁護士事務所に
離婚相談に行って
不倫による離婚請求の正当性を確認し
それを夫に説明すると
夫は初めて  私の意志の固さを認識したようで
ショックを隠しきれない表情で

「そんなに離婚したいの?
わかった…
彼女と別れるよ。
子どもたちには絶対に知られたくないから。」

と言った。

もうこんな夫とやり直すなんて考えられなくなっていた私は

「そんな理由で彼女と別れられるの?
あなたに捨てられて、彼女はこれからどうするの?
自分が離婚したくないからって、簡単に彼女を捨てるんだ…   どこまで自分勝手なの?」

そんなことを口走った。

夫はそれでも

「子どもたちには絶対知られたくないから
○○がそこまで離婚したいと言うなら
彼女とは別れる。」

と辛そうに言った。

それでも私の気持ちは混乱し続け、
そんな言葉は信じることはできなかった。

「彼女と別れたからって、もうこのまま一緒に
生活なんかできない。
もちろん夫婦関係だってもう一生無理だから。」

夫はひどく驚いて
「一生無理なの?…  一生?…」
とショックを隠さなかった。

それでも夫は
「わかった…   仕方ないね…
彼女と別れるから離婚はしないということでいいね?」



私は納得なんかできなかった。
こんな夫と一生暮らしていけるはずない…
どんな人生になるのか…
信じていない夫との冷たい生活
人前でどう夫婦を演じ続けるのか

結論なんか出るはずもなく、2日ほどがたった。
その間怪我で動けない夫は、常にソファに座りながら私と離婚の話をしている時でさえパソコンは常に開いていた。
仕事にパソコンは欠かせないものだから
それはいつものことだった。
さして不審にも思っていなかった。
夫が今まで彼女とどんな時間を過ごしていたのか
確認したいという気持ちを抑えきれなかった私は
夫のパソコンと携帯を見ようとした。

夫の入浴中なら、足を怪我している夫のそれらを見る時間はある。
パソコンを使い続けているからそちらを見ようと思ったが、ロック解除できなかった。
携帯のロック解除は、昼間夫の指の動きから
いくつかを試したら、簡単にできた…

まずライン
彼女の名前はもちろん、夫からの情報は
ほぼ拒否されたので何もない。

でも、
すぐにわかった。
1番上にあったのが彼女とのラインのやりとり…
名前は苗字のみ
プロフィール写真はフレンチブルドックのアップ
最初の文章を読んで、すぐに彼女だとわかった。

夫は一日中彼女と ラインし続けていた…
私と離婚について話していた時も
彼女と別れるよ   と言った後も
私と話しながら
彼女とラインしていた。

しかもその内容は
「別れる」と言った夫が送っていたものとは
到底思えない
目を疑うようなものだった。





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