お金の作り方⑧セイの法則と通貨供給
ジャン・バティスト・セイJean Baptiste Say
というフランスの古典派経済学者の学説
「供給はそれ自らの需要を生み出す」
といういわゆるセイの法則を金融政策に
当てはめるならば通貨供給こそが最善策
ということになります。
セイの法則とは供給が需要を作り出す
という一見、逆説的な考え方。たとえば、
りんごが豊作で実需より、供給過剰に
陥っても、りんごの値段を下げることで、
需給は一致し、在庫はなくなるとする考え
ですが、現代のように商品選択肢(競合
商品)の多い豊かな社会ではあまり効力
がないと考えられています。しかし世界で
必要とされる年間食料救援量は...
1000万トン
で日本人の年間に廃棄する可食ゴミも
1000万トン
といった状況やリサイクルビジネスとか、
都市鉱山あるいは排出権売買にもセイ
の法則は働いていると考えられます。
一方で、事業仕分けの憂き目に合った
赤字ローカル線などは、セイの法則が
まったく働かないケースといえます。
しかし、通貨供給に限ってはセイの法則が
成り立つからこそインフレという現象が起き
るわけです。通貨の価格調整こそがインフレ
の正体だったわけです。
とはいえ国際貿易や外国為替が日常化
しているグローバル社会において通貨は
発行元GDPによって価値は乱高下し、
市場に影響力を持つ金融業者の存在や
多国籍企業のように生産拠点を移動し、
地域に合わせて商品販売価格を変動
させるプレイヤーも多数存在するため、
通貨政策は一筋縄でいきません。
また供給されるべき通貨自体
の定義も以下の通り多様です。
M1=現金通貨と預金通貨(普通預金・当座預金)
M2=現金通貨と預金通貨と定期預金や外貨預金
M2+CD=M2に譲渡性預金まで含めたもの。
(ここまでが通貨供給量の範囲として一般的)
ほかにM3=M2に郵便貯金、農業協同組合、
信用組合などの預貯金、金銭信託を含めるか?
M3+CD=M3に譲渡性預金も含めるのか?
もはやいたるところで決済に利用されている
クレジットカードは通貨に含めるべきか?など
通貨のカバーエリアを巡って議論は分かれる
ところなのであります。
それ以前に、これらはすべてFiat Moneyである
ため、セイの法則をすでに内包していたのです。
つづく