これがホントの景気対策 難易度①
格差社会において私企業ができる
景気対策は商品の価格帯を広げる
ことです。
政府がいくら景気対策を打ち出しても
景気がよくならないのは、政府の責任
以上に企業側の責任もあります。
そもそも所得格差のあるマーケット
(市場)においては、低所得者でなく、
高所得者がプライスメイカーprice
maker(価格決定者)になりやすい
わけです。つまり、高くても買える人
たちが、マーケットを支配して、
低所得者はそれに従わざるを
得ないのです。
景気が悪くなってきても経営者側が
即座に価格設定を変えない理由は
高所得者がそれを買い支えることで、
利益率をかろうじて維持してしまえる
からです。これは消費税が持つ逆進性
regressiveness(金持ち君と貧乏君が
合コンで割り勘をする)構図と似て
きますね。
このような弾力性ない、硬直化した価格設定
が維持される一方で、百円ショップのような
極端な値引率で高収益を上げている業種も
あります。高収益を上げているということは
値引き戦略が正しいことを裏付けています。
しかし、値引き戦略は市場全体に行渡らない
とどんな景気対策を打っても消費は伸びません。
デフレ基調に入ってしまう前に企業側が
積極的な価格戦略を打ち出して、消費を
促すことは日銀の金利政策以上の景気
対策になります。各業種の業界団体が
日銀の代わりに、価格政策を打ち出す
べきなのです。
なぜならば、多くの商品は原価率35%
以下で、身近な商品でも原価率1%未満
のものがけっこうあるからです。
マークアップ(利益設定)を半分にするだけ
でも、低所得者の消費は刺激されます。
その一方で、高所得者むけの価格帯は
付加価値をつけて、そのままにしても
いいわけです。つまり価格帯を広げるのです。
企業側が値引き戦略に出ない原因の
一つにマスコミの責任もあります。
景気が悪い。さらに悪くなる。などと
周囲から喧伝されれば、儲けられる
うちに儲けようという意識が生まれて
しまうのは人間の生理なんです。