おいしい給食
「おいしい給食」というタイトルで、
コラムを月刊誌に書いた覚えがありま
す。日本人の舌をダメにしているのは
後にも先にも、ほかならぬ学校給食で
あり、昼食でサラリーマンがA定食や
B定食に舌鼓を打ち、サラダといえば
レタスかキャベツと相場が決まっていた
日本の食生活はかつての東独なみでした。
グルメになりたいからこそ、ブームは
巻き起り、グルメコンプレックスが逆
作用して「料理の鉄人」のような番組
が製作され、料理人漫画やドラマが
誕生したのだと、そのときの小生は
結論付けました。構図としてはスタイル
に自信がないからこそファッションに
傾倒し、世界有数のファッション大国
になった日本あるいはは資源小国で
あったがゆえ経済超大国になれた
日本の仕掛けと似ていますね。
つまり不味い給食がなければ日本人
のグルメもなかったわけです。
こういうと必ず「給食は美味かった!
アメリカのファーストフードの方が不
味い!!」と反論される方がおります
が、その不味い筈のファーストフード
はなぜ、世界にこれだけ普及したので
しょう?ほんとうに利便性だけでマクド
ナルドは年間13億個もハンバーガー
を日本で売ることができるものでしょうか?
もちろん、その一方で、インスタント
ラーメンも今や世界で年間1000億食
を達成する勢いです。マグロの漁獲量
が落ちたのは寿司という珍味を世界中
に教えてしまった日本人の自業自得も
あったわけです。和食が大好きな小生
としても、とても憂慮すべき事態になり
つつあるといえます。でも、日本の優れ
た伝統食はすべて給食を食べる前の
日本人がつくったものです。
までのグルメに成長した日本人はある意味、
給食に感謝するべきなのでしょう。でも晴れて
グルメになれた日本人はもはや今のままの
学校給食を受け入れることができない筈です。
ちなみに給食さえ与えれば「食育」が達成
できるという勘違いは典型的なモラルハザード
であり、ほかはちゃんと機能しているから
たった1%のモンスターペアレントの為に
給食を廃止する必要はないという議論も
またモラルハザードなのです。

