お笑いのレベルが政治をダメにする | ケビン・クローンオフィシャルブログ「ここが変だよ!! 日本人」powered by アメブロ

お笑いのレベルが政治をダメにする


Old friends....


ユーモアというものは外交や政治において
極めて重要な役割を担っており、外務省に
お抱えジョークライターを置くべきだと拙著
空爆式ディベート革命」に書いたおぼえが
あります。たとえば日本の早期主権回復を
狙っていた吉田茂はマッカーサーに対して
ところで元帥、GHQは何の略かな?」
といきなり質問して側近を慌てさせました。
General Head Quaters総司令部の略です
それを聞いた吉田はすました顔で返しました。
何だGo Home Quickly早く帰れ!じゃないの?
その後、日本はサンフランシスコ講和条約を
結ぶことになったわけですね。



With Jiro Shirasu


機転の利いたユーモアが歴史の流れを変える
こともあるからこそ、胡錦涛国家主席の卓球
スゴ技を目の当たりにした福田総理が述べた
非常に戦略的で油断ならないと思いました
という皮肉交じりのコメントは外務省が用意
したにせよ、適切だったか、議論が分かれる
ところなのです。吉田茂が持ち合わせていた
witticismウィット(機知)の背後に白州次郎
が控えていたかどうかは定かではありませんが、
政治家の資質の一つとしてユーモアとウィット
は欠かせないものと思われます。



PM needs to practice his Ping Pong


ただ、笑いのつぼにおいて欧米人と日本人は
かなりのへだたりがあり、欧米人のウィットを
日本人は嫌味に受けとり、サーカズムsarcasm
を皮肉と感じてしまいます。一方の欧米人から
すれば日本のお笑いは幼稚なslapstickドタバタ
駄洒落や物理芸)にしか映らないという事実が

コミュニケーション互いに阻害していている訳です。



and his favorite Teddy


国際便旅客機の各シート裏にテレビ画面が
付いてなかった時代ミスタービーンが頻繁に
上映されていましたね。これは志村けんさんが
台湾で人気だった理由と全く同じなのです。
沖縄放送が映る台湾では日本語を介さないで
笑える「バカ殿」は非常に人気があった訳です。
同様に機内上映もことばを介さないお笑い、
チャップリンのようなドタバタが重宝されたのです。



Slapstick and Sitcom*鳥居みゆきさん、

エドはるみさん、小島よしおさん、ナベアツさん

は典型的なスラップスティックです。


欧米人が日本のテレビ番組を観てまず不思議に
思うのは、日本人はみな日本語ができるのに
お笑いのほとんどがドタバタ系だという事です。
欧米系のお笑いはほとんど見つかりません。
日本人は幼稚なのでしょうか?それとも、

日本に言論の自由がないからなのでしょうか?


Both satire and democracy are found in ancient Athens


欧米系のお笑いは原則として風刺と皮肉と機知
を主体としており、satireサタイヤと呼ばれる政治

や権力者に対する風刺も頻繁に演じられます。
この伝統は古代ギリシャで親しまれた詩や戯曲に

までさかのぼり、その当時より実際の政治や社会

切り離すことのできない関係にあり、時には

政治を動かし、社会を変革する役割を担ってきたのです。


Kyogen is probabaly the extreme form

一方、日本にも鳥獣戯画や狂言、落語、川柳など
風刺文化はあることはありましたが、欧米に比べる

と遠まわしで遠慮がちなものばかりです。弾圧や刑罰

あるいは復讐を恐れた日本人は臭い物には蓋をして、

気にしないで済むドタバタコメディを歓迎するように

なったようです。つまり、民主主義の原則である

表現の自由と言論の自由が今もなお封殺されている

が故に日本人のお笑いは稚拙なものになっていた訳です。



日本のコメディが成長した時、

日本の政治は成長します。

日本のコメディがドタバタである限り、

日本の政治もドタバタなのです。

その意味において爆笑問題のお笑いは

日本の不毛なお笑い文化に一筋
の光明をもたらしているといえます。

そういえばチャップリンはドタバタで

サタイヤも実現してましたね!