悪女シリーズ50 フェロモンの実験
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二日間、身に着けてもらった下着の匂いを
異性に嗅いでもらい「好き」か「嫌い」か判断
してもらう「フェロモンの実験」はあまりにも
有名ですね。遺伝的に距離のある相手に好意を
感じるという実験結果はフェロモンの整合性と
機能性を裏付けた結果となりました。免疫に
関する遺伝情報は主要組織適合遺伝子複合体
Major Histocompatibility Complex(MHC)と呼ばれ、
これがフェロモン情報の一部をなしています。
蛇が舌をチョロチョロ出したり、犬がお尻を嗅ぐのも、
馬や羊が歯茎を見せるフレーメンFlehmenという行為も
鼻の中にある鋤鼻器官Vomeronasal Organ(VNO)
にフェロモンを送り込む行動だと考えられています。
以前から人間の唾液にもHuman Leukocyte Antigen
(HLA)という種類のMHCが含まれていることを
小生は指摘していましたが最近そのことは確認され、
TIME誌にも掲載されました。つまり、ヒトがキスを
するのはフェロモンの最終チェックだということが
できるわけです。鋤鼻器官が他動物より退化している
ヒトは至近距離まで接近したり、唾液を交換すること
で相手のフェロモンを確かめているのです。ある意味
キスは相性compatibilityの最終テストなんですね。
わかり易くいえば遺伝的に距離のある相手であれば
キスもセックスもいってみればいい香りがして、
心地よく感じ、行為の結果、生まれた子孫は
免疫系がより強化された遺伝子を獲得した、
つまり、進化したヒトとなるわけです。
しかるに、こうした健全なる本能行動にも母性嫉妬は
働きかけ、遺伝的に相性の合う相手を確実にふって
しまうようにコントロールしてしまいます。ちょうど、
「男は顔じゃないわ」と刷り込まれた女の子がタイプの
男性を振ってしまいダメンズウォーカーを続けるのと
同じことなのです。従って、心理的に制御されてしまう
本能的行動はできるだけ客観的に眺めるようにしましょう。
なぜなら本能が正しい場合も多いからなのです。
次回「三代で潰れて、七代先までたたるわけ」