猫を家で飼っていると、その行動が当たり前、と思ってしまいがちですが、人とより接近した生活をするようになった現在の猫さんの行動は、実は昔の猫さんや、大昔の猫さんとはかなり違った行動である場合もあるのです。一見よりよい関係に見える猫と私たちの生活も、本当は猫の側からあわせてくれているのかもしれません。そこで、今回は、猫は本来どういう行動やどういう心理を持つ動物なのかを、少しずつ紹介していきます。

猫は本当は単独生活の動物

 猫さんの心理を理解するのでまず知ってほしい基本形は、「猫は単独生活をする動物である」と言うことです。群れを作る動物の代表例は、同じ肉食動物の犬ですが、彼らとの大きな違いは「狩りの時に、仲間と協力して獲物を捕るかどうか」ということです。犬は仲間とともに獲物を追い、とらえていき、獲物も分け合うのに対し、猫は一人で狩りをして、一人で獲物を全部食べます。また、心理面での違いは「一人で居ることを寂しいことと思わない」と言うことです。群れを作って暮らす犬は、一人で居ることがたまらなく寂しいため、仲間を求め、群れを作ります。しかし、猫は、一人で居ることを決して苦にはしていないのです。また、単独生活の動物の特徴として、協調性と社会性が余りありません。群れで暮らす動物は、ある程度我慢や遠慮をしてうまくやっていくけれど、単独生活する猫には、相手にあわせていくという心理が余りありません。群れ生活する動物には、支配するモノとされるモノ、という関係が生まれますが、単独生活をする動物には、上下関係というモノが存在しません。狩りの時には単独で行うため、協力関係も特に存在しません。猫は基本的には一人で暮らす動物なのです。
 ではなぜ、単独生活をするはずの猫が、人間と仲良く暮らし、人間に甘えたりするのか不思議かもしれません。単独生活な猫ですが、そんな猫でも、子猫の時にはたった一人では生きていけないため、相手を頼って甘えようとします。不安を感じる時は頼る相手を捜します。それが猫どうして暮らしている時は、母猫であったり、兄弟猫であったりするのです・大人になるに連れて、子猫としての気分が失われていくと、甘えて頼る気持ちや仲間と一緒にいたいという気持ちが失われていき、猫はそうやって独立して一人で暮らすようになります。しかし、母や兄弟と離れて人に飼われると、人が食事を与え、寝る場所を与えるという、安心感を与えます。そう言うことによって、猫は心理的に子猫のような気持ちになるため、人に頼り、甘え、人を仲間と思うようになるのです。このように育った猫は、大人になっても、食事や安心感を与えてくれる人を親や兄弟のような存在と思い続けるため、子猫のような気持ちのままで、人とともに暮らしていくことができるのです。

猫は環境に合わせた生き方ができる

 また、猫は単独生活で獲物を求めるために、野外ではある程度のなわばりを必要とする動物ですが、食事の確保が十分であるならば、なわばりの広さについても十分に対応します。たとえば、野外でたくさんの獲物がある、あるいはノラさんで猫に食事を与えてくれる人がいるならば、同じなわばりに何匹かの猫を許容することができます。人が室内で飼う場合はもっと極端で、食事がきっちり確保されているならば、寝る以外のなわばりを必要としない場合も十分に起こりえます。飼い主さんが十分に食事を提供してくれるならば、そのなわばりに何匹かの猫が居ても、それにこだわらなくなってきます。まさに「衣食足りて、、、」な状態となるわけです。

猫は昔に比べてより人に近い存在になってきた

 昔の飼い方だと、食事をあげて後は好き勝手に猫の自由にさせていたのだが、最近は食事だけでなく、遊ぶ、寝る、話しかけるなど、猫に対して人がいろんな働きかけをするようになってきました。それにあわせ、猫もまた、猫としての行動を変化させてきているようです。猫が食事や居場所を与えてくれる人を「親猫あるいは兄弟猫と=」と見なすことから、猫は人間に対し、子猫としての気持ちを持って人間に仲間意識を持つようになり、猫に対して行うような行動を、人に対しても行うようになってきています。それらの行動がまた、人にとって猫をいっそう近しい存在と感じさせてくれるようになり、猫が人にとって無くてはならない存在となってゆくわけです。

注意しなくてはならないこと

 以上のように、どんどん縮まってきている、猫と人との距離であるのですが、一つ注意しないと行けないことがあります。それは、人間と猫を同一視してしまうことです。猫が人間になれるあまりに、人間が猫の方を人間の感覚でとらえがちになってしまうのです。そして、猫の心を、人間の心理と同じであるかのように錯覚してしまうのです。忘れてはならないのは、猫は猫であること、です。猫は、人間を仲間と思うことはあっても、人間とは全く違う感覚と心理を持っているのです。それゆえ、猫と交流する時は、あくまで猫の立場や心理をふまえてつきあっていくようにしていくべきでしょう。

問題行動を考えるとき

 さて、最近よく聞くようになった言葉に「動物の問題行動」という言葉があります。犬や猫など、人間と暮らしている動物が、生活上問題ある行動をするときにこのような言葉を使います。しかし、これは、あくまでも人間中心の考え方で、人間から見た場合の問題な行動であり、猫や犬にとっては生活の形態から必然的に派生した問題であることも少なくありません。だもんで、もし、問題行動となるような事態が発生した場合は、まずは、その猫さんが暮らしていく上で、その猫さんの本来の行動をねじ曲げたモノになっていないのか、一度生活全体をまず見直してみる必要もあります。問題行動を作らないためにも、猫さんがどういう行動をする動物なのか、正しく理解していってください。