化粧品犬です。
今回は予告通り、市販の日焼け止めに含まれる、紫外線吸収剤量の分析がテーマです。
自腹で色々分析してみるというエントリーのひとつです。
なんかタイトル見ると色んな製品をやりそうですけど、取りあげる製品は一個だけです(^_^;)
化粧品犬も過去には、日焼け止めを開発した事はあるのですが、ノンケミ処方だったんですね。
ノンケミ処方ってのは、紫外線吸収剤を含まない処方のことで、酸化チタンや酸化亜鉛などの紫外線散乱剤だけ配合されている物です。
昔は紫外線吸収剤の安全性には疑問も多かったし、それなりに正しい方向性であった思うんですよ。昔はね。
しかし最近は、新規な紫外線吸収剤がどんどん出てきて、古い紫外線吸収剤が置き換えられたり。
昔なんて、紫外線吸収剤なのに、光感作性のある(光が当たるとアレルギー性を発揮する)紫外線吸収剤とか使われてましたからね。イまあ古い製品では、今でもたまに使われてることもありますが(^_^;)
また既存の紫外線吸収剤の安全性も、結構オープンに公開され始めたり。
状況は昔とは、変わっています。
そんなわけで、勉強のために、また今後の自分の処方作成の糧として(^_^;)
最新の市販の日焼け止めを、一発分析してみよう!という企画なのです。
しかも自分だけデータを死蔵していてもつまらないので、今回は限定公開ですが、ブログににあげてみる、という野心的な試みです(^_^;)
分析サンプルとしては、2018年の製品で、よく売れていた製品を選んでいます。
この商品には、以下の紫外線吸収剤と紫外線散乱剤が含まれています。
1.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(UVB吸収剤)
2.オクトクリレン(UVB吸収剤)
3.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル (UVA吸収剤)
4.エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン (UVA吸収剤)
5.酸化チタン
6.酸化亜鉛
紫外線吸収剤周りの構成としては、2種のUVB吸収剤(液体)に、2種のUVA吸収剤(固体)を溶解させて、安定化させているという構成です。
このうち、分解が問題になるのは、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルだけで、残りは光が当たっても安定です。
ただ、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルは溶媒としての効果が大きくて、抜くのは困難、また安全性が問題になったことは無いって、 原料メーカーのBASF社から聞いています。
また溶媒である為、いちばん多量に配合されることが多く、それも分解が問題視されない理由だとのことです。
紫外線散乱剤の酸化チタンと酸化亜鉛も配合されています。
成分的には、オールスター的な感じですね(^_^;)
例えばノンケミの日焼け止めの場合、これらの紫外線散乱剤は、10〜15%ぐらい配合されています。
さて何を分析するかですが。
SPFに関係がある物を見たいので、とりあえず上記6品のうち、酸化亜鉛以外の1〜5を分析してみました。
SPFに関係するのは圧倒的に酸化チタンの配合量であり、酸化亜鉛は効果が小さいのです(その分白くなりにくいが)。
これで分析依頼を、してみました。
さて分析結果は如何に?
↓
ドルドルドルドルドルドルドルドルドルドル・
(ドラムロール)
↓
ドドーン!!
出ました!
結果は以下の通り。
まず紫外線吸収剤。
1.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 7.5%
2.オクトクリレン 3.0%
3.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 1.5%
4.ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン 0.5%
との結果でした!!
紫外線吸収剤、結構多量に入っていますね。
でもこの製品で肌荒れしたって話は、聞かないですから。
現在使われている紫外線吸収剤は、安全性は確保されていう事です。
そして紫外線散乱剤は、どうか?というと!
結果は、これです!!
酸化チタン1.5%
少ない!
衝撃的な少なさです。
この製品、SPFは50+なのですが、ほとんで吸収剤で持っていっているのではないでしょうか。
酸化チタンや酸化亜鉛は、SPFではなく、ベヒクル(製剤のクリーム部分)を強化する芯材としての役目が多いのかもしれません。
予想を裏芸って、かなり面白い結果になりました。
とここまでやって、酸化亜鉛の分析をしなかったことを激しく後悔しました(^_^;)
今後ですが、、やはり酸化亜鉛の分析もやってみたくなりました。猛然と。
もう、辛抱たまらんでですね。
年が明けたら、再度分析依頼をする予定です。
結果が出たら、またエントリーを上げます。
というわけで、後編に続きます。
今回のエントリーは少し危ないかな(^_^;)と思われるので、過激なコメントは載せません。
特に製品名当てとかです(^_^;)
普通のコメントは欲しいのですが(^_^;)
ご了承ください。