ジョンマスターオーガニック H&Hヘアシャンプーの解析 | 化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

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大手会社の開発に勤務していましたが、好きな化粧品を好きなだけ追求するため円満退職。
ノラ犬となった化粧品犬が、面白いと思った情報を発信していくブログです。
化粧品コンサルタントとして仕事も受けています。
パームアミノ・ラボ合同会社 imori@palmamino-labo.jp

化粧品犬です。

今日はちょっと気になる原料があったので、ジョンマスターオーガニック H&Hヘアシャンプーの解析をします。
H&HヘアシャンプーのH&Hとはハニー&ハイビスカスの略です。

ジョンマスターオーガニックは女性の方なら知っていると思いますが、ここ数年で急激にのいてきたブランドです。アメリカの会社です。
商品ラインナップはヘアシャンプーが主体です。
スキンケアが主体のロクシタンなどに較べると、ちょっと珍しいですね。

日本ではスタイラという会社が輸入販売しています。
日本では独自店舗による販売が主体ですかね。サロンなどにも出されているようです。
スタイラさんは非常に事業が好調らしく、2013年に販売会社であったスタイラの方が、ジョンマスターオーガニック社を買収してしまい、業界を驚かせたりしました。

買収してもあまりラインナップは変わりませんでしたが、2年経ったこれからが日本向けの製品が出てくるんでしょうか。

早速商品の写真を見せたいところですが、手違いで容器を捨ててしまったので、外観は本家のページを見てください。

ヘアシャンプーなのに何故かチューブのやつです(^_^;) クールですねぇ(笑)
ああ、あれか!と見覚えのある方もいると思います。
そして例によって処方を整理しました。
こちらです。


シャンプーの基本である、洗浄剤から見ていきましょう。
ここに気になる成分があるのです。
それはババスアミドプロピルベタインです。
この原料あまり聞き覚えが無いです。
普通使うのはコカミドプロピルベタインですよね。
これは色々な製品に使われています。
というか世の中だいたいコカミドプロピルベタインを使用しいぇいると言っても過言ではい。安くて安全性もそこそこ高い原料で、」分類としては両性界面活性剤というものになります。

そこでババスアミドプロピルベタインについて調べてみました。

ババスアミドプロピルベタインとは、コカミドプロピルベタインがココ(ヤシ油)から作られるのに対して、ババス油から作られた、コカミドプロピルベタインと似た両性界面活性剤だということです。

ババス油とはヤシの木の一種ババスから取れる食用油で、ココナッツオイルの代わりに使われるものらしいです。
ババスアミドプロピルベタインだけではなく、ババス油自体も化粧品で許可されていました。

全く知らなかったので、処方開発者としてはちょっとショックです。

天然油脂と言うことで、一応化学構造もチェック。
脂肪酸鎖長分布を見ました。天然油はこれをみると、どんな油かだいたい分かるのです。
こんなかんじです。参考のため、オリーブオイルのデータも置いています。
オリーブはオレイン酸が主成分ですね。


表から分かるように、パーム核油、ヤシ油、ババス油は「ほとんど同じ組成で、ラウリン酸が主成分であることが分かります。このラウリン酸が多いと、泡立ちの良い洗浄剤が出来るのです。
よってババスアミドプロピルベタインは、よく使われているコカミドプロピルベタインと同等の泡立ちをもっていることが推測されます。

また、カプリン酸、カプリル酸のような短鎖長の化合物が多くなると、」皮膚刺激が増す方向になるのですが、その辺りの分布も、ババス油はパーム核油やヤシ油と似てるので、皮膚刺激という点でもコカミドプロピルベタインと同程度と予想されます。

この処方は洗浄剤の部分では、このババスアミドプロピルベタインの他は、海外のシャンプーでは定番のデシルグルコシドとココアンホジ酢酸2Naですね。
普通ここにラウレス硫酸Naが入ってくるのですが、そうでないところがジョン・マスターなのでしょう。

長くなってきたので、次エントリーに続きます。