留学生ブログを装ってみた。(下準備編) | ますたーの研究室

ますたーの研究室

英詩を研究していた大学院生でしたが、社会人になりました。文学・哲学・思想をバックグラウンドに、ポップカルチャーや文学作品などを自由に批評・研究するブログです。

はじめに

 

前も書きましたが、私は大学の全学交換プログラムを利用して、現在アイルランドはダブリンにあるユニバーシティ・カレッジ・ダブリン(UCD)に留学しています。この時期のダブリンはどこもクリスマスムードが高まっていてなかなかよいです。

 

 

今学期のプログラムが全て終了して暇になったものの、クリスマスが過ぎるまでまだこちらにいるため、備忘録も兼ねて留学生ブログを装ってみることにしました。

 

 

今回の記事は東京大学の全学交換プログラム(USTEP)を使って留学(特に英語圏への留学)を検討している人を念頭に置いて書いています。一応身の上を名乗っておくと、私は総合文化研究科(駒場)の地域文化研究・イギリスというところに所属している大学院生です。学部からずっとそこです。

プログラムが終わったときには正式な報告書を提出する予定ですが、その際にはこの記事のリンクを貼っておしまい!とできればいいなあというのが執筆の主な目的です。

ですが、交換留学の他にも語学留学を検討している方にも益するかもしれません(ちなみに、海外の大学院での学位取得を目的にする留学はこれらとまったく事情が変わってくるので、本記事はあまり役に立たないと思います。しっかりとした留学生ブログをお探しください。私もそのうち探します)。

 

 

いつ留学するのがいいのか

 

私は現在大学院の修士課程の2年目ですが、学部生の時から留学願望みたいなものはありました。

ですが、学部生の頃は吹奏楽部に所属しており、そちらに本気を出したかったので留学を見送りました。院生になるつもりだったので、留学は院生になってからでいいや、ということです。

リアルの私を知っている人ならご存知だと思いますが、学部生のときはマジで音楽ばっかりやっていたので、そこに留学を組み込むことはさすがに無理でした。ですが、学部時代の吹奏楽部に明け暮れた日々に特に悔いや後悔はありません。

 

 

私の場合はレアケースだとは思いますが、一般的には3年生の秋から4年生の夏にかけて行くのが最も普通だと思います。

(ここも一つ注意点ですが、欧米圏では日本とは違い秋に始業するのが一般的です。)

あと、1年間留学を挟むと必然的に留年せざるを得ないということも留意しなければなりません。

単位の問題等もなんとかしようと思えばなんとかなり、頑張れば1年間の留学込みで4年間で卒業できるようなのですが、就職活動なども加味すると結構大変だと思います。

だったら5年計画でじっくりと勉強・研究・就活に費やした方が後のことに有意義なのではなかろうか、というのが個人的な意見です。

 

 

ちなみに、どういった分野に進むかにもよるのですが、もし院生になるつもりであれば院生になってから留学した方がいいと思います。

私は英文学を専門にしてから4年目くらいになるのですが、もし今の段階ではなく学部生の段階で留学していたら授業にまったく何もついていけてなかったと思います。

私が4年生になったとき、コース長になった私の先生が「うちのコースでは日本にいながらにして国際的な水準へと達することを目指します」と宣言していたことがすごく印象に残っていて「今は日本でできることをしっかり自分のものにしよう」と思ったことをよく覚えています。

そこから2年たってまあ機は熟したかなと思ったので留学を決意したという感じです。

 

 

院生になってからの留学は目的や意識がはっきりしているのでより効果が高いと思います。

一方、学部生のうちに留学して視野や世界を広げるというのもたいへん有意義だと思います。

 

 

ただ一つ思うのは、おそらく個々人にベストなタイミングというのがきっとあります。巡り合わせがあったな、これは留学すべきだな、と思ったときに留学するのが一番です。

 

 

語学の試験はお早めに

時期はどうであれ、留学を決めたならとっとと動き出すのが吉です。
私は2018年9月から留学していますが、その準備を始めたのは2017年の6月くらいからで、実に1年以上前から動き出していたことになります。
 
 
最初はとりあえず語学関連の準備です。留学に行くためには語学の試験を受けて一定の語学力があることを示さなければなりません。
ここからは英語圏への留学を念頭に置いて書くのですが、英語の語学の試験はIELTSかTOEFLを受ける必要があります(TOEICや英検などは使えません)。
 
 
IELTSはイギリス、TOEFLはアメリカ、という認識があるのですが、おそらく今はどちらでも融通が利くと思います。
私はIELTSを受けました。TOEFLはPCに向かって色々やる、という特殊な形態の試験なので、紙と鉛筆で受験するIELTSの方がとっつきやすいかなと思ったためです。
それから、IELTSは大学に受験補助の制度がありました。IELTSは1回の受験料が25000円もする(TOEFLは確か3万だった気がする)大変笑顔な試験なのですが、この制度を利用すると自己負担を1万円に抑えることができ、とても経済的です。(※1)。
 
 
英語試験の細かい話を続けます。
IELTSとTOEFLは恐らく個人の相性があるので、どちらも受けた方がいいのだと思います。
あと、IELTSはスコアが0から9の中で5, 5.5, 6.0 ... と0.5刻みで上がっていくのに対し、TOEFLは120点満点の中で1点刻みに上がっていくので、TOEFLの方がスコアが上がりやすい、と私の先輩は言っていました。TOEFLの方が試験形態が特殊なので特化した対策がしやすい、とも。ただ、私はIELTSしか受けたことがないのでIELTSの話を続けます。
 
 
学内専攻の基準をクリアする段階でIELTSはOA. 6.5が要求されます。
この6.5という基準。人によっては楽勝なのでしょうが、私にとってはそこそこハードルが高かったです。
英語を専門にやってる院生としては本当に情けない話だと思うのですが、私は1回目に受けた時の成績はOA. 6でした。結局、基準をクリアするまでに3回受けました(7月、8月、10月)。3回目に受けた10月の試験は時期的な都合で全額自腹をしました。というか、2回の結果を鑑みるに、それくらいの覚悟をしないと勉強にも身が入らないし、パスできないな、と思ったためです。
 
結果的にこれはやっておいてよかったです。というのも、大学の補助制度を利用すると試験が1日に詰め込まれますが(LRWを午前、Sをその日の午後)、自分で受験すると2日に分けることができます。つまり、Sだけを翌日に回せることができます。Sの日はそのことだけに集中できるので、1日で全部を済ませるよりも時間的・心理的に余裕があってよかったです。
 
 
そんなわけで、3回目の受験でようやく基準をクリアしました(R:8.0, W: 6.5, L: 6.0, S: 6.0, OA. 6.5)。UCDが要求する水準(全部6以上のOA. 6.5以上)も合わせてクリアすることができたので、よかったです。
ほんと、周囲の英語強者の友達・先輩・後輩がさも当然のように7.5だの8.0だのを取っているので、IELTSのスコアに関しては非常にコンプレックスでしたし、今もコンプレックスです。学部生の段階では6.5あれば英語圏のだいたいどこでも行けると思いますが、院生、特に英語を一応きちんとやっている院生としては心許ないスコアです。ですが、まあ帰って来てからもう一回受ければさすがにもうちょいスコア上がるやろ(ヘラヘラ)。
……嘘です。ちゃんと勉強し直します。特にリスニングとかライティングとかな。あれはきちんと勉強しないとどうにもならない。
 
 
一応勉強法とかも書いておきます。参考書を買いました。『IELTSブリティッシュ・カウンシル公認問題集』で、まずはこれ一冊をきちんと仕上げればよいかと思います。それでも足りなかったら『ケンブリッジ出版公式IELTS過去問集』に行くのがよいでしょう。他は多分必要ありません。
単語帳も買いましたが、あんまり使いませんでした。高校生の時からあらゆる勉強の中で英単語の勉強が一番嫌いです。憎しみすら感じます。
 
 
各技能についても一応。ライティングは実際に書いて読んでもらうことが重要なので、帰国子女の後輩にお願いして添削してもらいました。あと、その子にも同じ問題で作文を書いてもらい表現や言い回しなどを参考にさせてもらいました(その節は本当にありがとうございました)。
スピーキングは問題集にあった模範解答例を何回か聴き、暗記して自分でも話してみました。試験会場に向かう電車の中でも聴きながらぶつぶつ唱えたので、これはよかったと思います。人によっては「何を当たり前のことを」と思われるでしょうが、外国語を学習するにあたって音声CDを聴くのは大変重要だと思います。
リスニングもとりあえず問題集付属のCDを何周か聴きました。リーディングも一応問題集の問題を解きましたが、普段から日々英文と格闘しているので特にそれ以上は何もやりませんでした。
 
 
4技能の中で日本人が一番ネックなのはやはりスピーキングだと思いますが、特に私は海外在住経験がない純ジャパ英文学徒だったので、やはり苦しみました。
 
3回目の試験のスピーキングのテーマは音楽で、「いやこれは勝ったな!」と思わずガッツポーズをとったのですが、英語力の乏しさのために思ったよりも言いたいことを英語で発信することができず、そのとき熱心に追いかけて観ていた『スイートプリキュア♪』がふと頭をよぎったのか「音楽は人の心をとっても豊かにするの!」「それを無くそうとするなんて!絶対に許さない!(※2)」「レッツプレイ!プリキュアモジュレーション!」くらいしか言うことができず、もっともっと話せたし話したかったのになあとあまりにも悔しい思いを抱えて試験を終えたのを覚えています。あまりに悔しかったので帰りに銀座のYAMAHAに寄ってCharles Koechlinの『ファゴットソナタ』の楽譜を買いました。
 
学内選考の面接でも「話す練習はしておいた方がいいかもしれませんね」と指摘されたのですが、話す練習をするにはオンライン英会話なり英会話教室なりを検討した方がよいかもしれません。一番手っ取り早いのは、英語ネイティブの友達を作って話し相手になってもらうことですが。
 
 
そんなこんなで、3回の受験を経てようやく目標のスコアを達成しました。重ねて書きますが、自分にとっては結構大変でした。
英語に日々触れている身でありながらこんな体たらくなので、もし英語関連が専門でないならば継続的に勉強する必要があります。
いまや英語の勉強には困らないくらい教材がその辺に転がっているので、ぜひ頑張っていただきたいところです。ちなみに、リスニング能力の向上にコスパを最重視するのであればYoutubeにあるTED Talkを片っ端から聴くのがお勧めです。
 

留学の行先の検討

単刀直入に申し上げると、アイルランドがおすすめです!!
(というかこれを言いたいがためにこの記事を書いている)
 
 
英語圏への留学となるとまずはイギリス・アメリカ、次いでカナダ、あるいはオーストラリア・ニュージーランドなどが挙がると思いますが、とかくアイルランドは忘れられがちです。自分も専門がイギリス文学なこともあり、最初はイギリスに行こうと思っていました。ですが、シェイマス・ヒーニーを1年間かけてじっくり読んでいたらアイルランドいいなあと思ったのでアイルランドにしました(安直)。
 
アイルランドを激推しする理由ですが、東大と交換留学の協定を結んでいるトリニティ・カレッジ・ダブリン(TCD)、ユニヴァーシティ・カレッジ・ダブリン(UCD)の二校はどちらもアイルランドを代表する一流の大学で、世界的レベルでもトップクラスの素晴らしい大学です。
で、その割にはアイルランド自体が関心のある人以外は誰も見向きしないので、学内での競争率が激低だからです。現に、今年UCDに留学したのは(恐らく申請を出したのも)私一人だけで、TCDも恐らく一人だけです。それぞれ、申請を出して特に書類や成績等に不備がなければ他人と競争することなくパスできていたのだと思います。
 
要するに、アイルランドは英語圏における知る人ぞ知る優良留学先となっているわけです。
アイルランドは国策的に海外からの人の受け入れに力を入れており、外国人にとっては大変住みよい国だと思います。
あと、イギリスにも近いです。ダブリン・ロンドン間は飛行機では80分しかかかりません。他のヨーロッパ諸国に旅行をするのも容易ですし、アメリカに行くのもそんなに大変ではないようです。
 
 
というわけで、みんな、アイルランド行こうぜ。ギネスビールうまいし。
 
 
あ、あとUCDとTCDのどちらがいいかですが、どちらもいいしどちらでもいいと思います。ですが、TCDは都市の中心という一等地にどかーんとあることと、ここほんとに大学?となるくらい歴史的建造物としての雰囲気が良い(TCDはもともとイギリスがアイルランドを植民地化したときに作られたイギリスの大学の出先機関みたいなものだったので、オックスフォードやケンブリッジと並んで400年以上の歴史があります)ので、特段UCDにこだわりがなければTCDの方をおすすめします。ですが、UCDにはUCDの良さもあり(ここアイルランド?ってくらいのグローバル環境、自然豊かで広々としたキャンパス、学食がうまい)私個人としてはUCDの方が気に入っています。
 

書類の準備など

確か学内申請の締め切りが11月上旬だったので、IELTSの目標スコアが取れた10月下旬くらいから書類の準備を始めました。結構ギリギリのスケジュールでした。
 
 
締切は所属する学部・研究科によって違います。気を付けなければならないのは、2年生である場合は内定先の学部の日程に従わなければならないことです。駒場の締め切りの日に「経済学部内定なのであれば本郷の方で出さないと駄目ですよ」との非情な宣告でショックを受けている学部生を見て、大変可哀想な気持ちになったのをよく覚えています。
 
 
申請書類についてですが、当初全部日本語で作成していたのですが、交換留学を経験した後輩の「留学を希望する理由とかは英語で書いた方がいいと聞きました」というアドバイスを受け、あわてて英語で書き直しました。
後で思い返してみると、この時に書いたものをもとに留学先の申請書類も書くことになったので二度手間にならずに済んだということもあり、この段階で英語で書いた方がいいと思います。
 
 
ちなみに、申請書類はエクセル形式であるために、校正機能がありません。選考通過後にワードでもう一度清書しようとコピー&ペーストをしたら誤字・脱字のオンパレードでドン引きしました。よくこんなミスだらけの英文で通ったなと背筋が凍る思いをしたので、文書作成ソフトできちんと書いてからエクセルにペーストすることをおすすめします。
 
 
あとは英文の成績のトランスクリプションは準備に時間がかかるかもしれないので、早めに準備しておくとよいでしょう。学部のものは機械で即発行できたのですが、修士のものは窓口で申請し受け取るまで数日を要したので、結構ひやひやしました。
推薦状も指導教員に早めに頼んでおくようにしましょう。学部生でまだ指導教員が決まっていない場合は、今までとった小人数制の授業の中では一番この先生と仲良くなったな、という先生にお願いするのがよいでしょう。その先生もきっと喜んで書いてくれるはずです。
 
 

奨学金の検討

留学に奨学金は絶対に必要です。交換留学では大学経由でJASSOから月額数万円の返還不要の奨学金をもらえることができますが、それだけでは少し心許ないです。
ポピュラーなのは「トビタテ」とか「業務スーパー」で、これは周りでも利用していた人が多いです。
私は栃木県出身なので、「公益財団法人飯塚毅育英会・海外留学支援奨学生」(https://www.iizuka-takeshi-ikuei.or.jp/)というものに応募しました。
結果的にこれは大正解で、栃木県出身であればぜひ応募すべきです。
 
 
こちらの選考が2018年7月だったので、留学のもろもろがすべて決まってから応募・選考と進んでいきました。
 
 
奨学金の応募時期はまちまちなので、これは各自よくご確認くださいとしか言えません。
ちなみに、他からもらえる奨学金を月額換算した際、JASSOの支給額を越えていたらJASSOからはもらえないというルールがあります。
私はこれを完全に見落としており、4月だか5月だかに本部国際交流課とのやり取りのうちにこれが発覚した時は一人研究室で発狂しかける、という事態に見舞われました。くれぐれも各自お気を付けください。
 
 

学内選考の面接

無事に申請書類を提出し、特に不備がなければ選考は面接へと進みます。12月の下旬でした。ちょうど今から1年前くらいですね。

よりにもよって12月24日の午後が面接日だったのですが、その日の午前中に場所をよくよく確認したら駒場ではなく本郷であることに気づき、少し焦りました。遅刻することなくきちんと辿り着くことができてよかったです。

 

 

面接については特筆すべきことはないように思いますが、前半は英語で行いました。面接官は日本人の先生でしたが、やはり英語力を見たいとなったのでしょう、希望理由や今まで一番頑張ったことなどを英語で話した記憶があります。例によってあまり上手く話せませんでした。

で、私の場合は留学先でやることがはっきりしていたので(英語圏の英文科で英語ネイティブに混ざって英文学を学ぶ)、その点については特に何も突っ込まれることなくスムーズに面接が終わりました。面接が終わったらそのまま帰省する予定だったので、スーツケースだの楽器だのの大荷物で面接会場に行きましたが、そのことについても何も言われなかったのもよかった。

 

選考通過後のUCDへの応募

学内選考の結果が出るのが確か面接から1か月ほどが経過した1月下旬くらいで、無事に内定をいただくことができました。

そこから実際に留学先へとアプリケーションを出したのは5月上旬だったのですが、そこは本部国際交流課からのメールの指示に従えば問題なくできると思います。

 

あと、UCDはすごく親切にインストラクションをしてくれます。申請フォームの書き方について詳細にチュートリアルをしてくれるYoutubeの動画リンクやスライドがあり、それを見ながらやればたとえ初めての経験であっても簡単にアプリケーションを送ることができると思いますし、送ることができました。そこはさすがに、世界中から意欲的に留学生を受け入れようとしているグローバル大学なだけあります。

 

ビザの申請

アイルランドの場合、渡航する前にビザを取得する必要はありません。パスポートに3か月の観光ビザを押してもらい、のちに外国人登録を行いカードを受け取る必要があります。

 

 

この申請が超厄介で、今日ようやく登録を完了させることができました。年末にすぐに帰れなかったのはこれが原因です。

申請の予約はインターネットから行うのですが、これがまず取れません。毎日入力フォームに向かってF5を連打することになります。

結局到着してから3か月目でようやくアポイントがとれて、そこからさらに1か月半後に登録が完了したので、それくらいかかることの覚悟はしておいた方がいいかもしれません。アイルランド、特にダブリンは、外国人を積極的に受け入れたいわりにはそのためのシステム設計がまだ追いついていない、というのが現状のようです。

 

人脈づくりと家探し

留学にするにあたって新たな人脈を作るのは非常に大事だと思います。

私の場合、ちょくちょく行っていた研究会で、たまたま同じタイミングでUCDでPhDを始める英文科の先輩がいることがわかり、まずその先輩と仲良くなりました。

それから、学部の時からお世話になっていたアイルランド文学の先生にUCDの留学経験がある先輩を紹介してもらい、色々とお話を聞きました。その方はUCDでのPhDを終えた後は4月から駒場の助教になるという巡り合わせもあり、それはとても幸運でした。帰国後は直接お会いして色々と相談したり話を聞いたりしながら準備を進めることができ、たいへんよかったです。

 

 

あと、留学が大体決まったらすぐに家探しに取り組まれることをお勧めします。ダブリンは住宅難に見舞われており、好条件の家を探すのは結構大変です。大学内の学生寮に住むのが一番手っ取り早いですが、かなり高かったのでやめました。あと、UCDはダブリンの中心からは外れたところにあり、大学の周囲は何もないため、UCDに住むとどこにも行きづらくて引きこもってしまう気がしまうのであまりおすすめしません。

 

 

今自分が住んでいる家はその先輩から紹介をもらった場所であり、スムーズに家を決めることができ、重ね重ね大変幸運でした。おかげさまでいいところに住めています。

 

 

ちなみに、大学に提出する正式な書類とかには連絡先を書いておきますので、もしアイルランド留学やUCDに興味がある方がいれば積極的に連絡をください。質問でもなんでも、いつでも歓迎します(この記事にコメントくださっても結構です)。

 

クレジットカード・銀行口座・海外保険・国際学生証など

留学前のガイダンス等でも強調されるのですが、VisaかMasterを絶対作った方がよいです。もともとJCBのクレカを持っていたのですが、こちらに来てから1回も使えたことがありません。

新たにVisaのデビットを作ったのですが、本当作っておいてよかったです。これのおかげで生活ができています。これを作ってなかったらと思うとぞっとします。

あと、父親がアメリカンエキスプレスの家族カードを作ってくれました。アメックスも色々な場所でそこそこ使えます(ですがやはりVisaかMasterです)。ちなみに、アメックスは専用ラウンジが羽田空港にあり、出発時間の関係であまり長時間利用はできなかったのですが非常に快適でよかったです。

 

 

あと、先生の勧めでPrestiaに口座を新規開設しました。PrestiaはSMBC信託銀行の一部で、日本円で預けた預金を、世界中のどこからでも現地通貨で引き下ろすことができます。大変便利です。アイルランドでは学生として外国人登録をするにあたって「€3000以上が入った現地の銀行口座の証明」が必要になるのですが、これはPrestiaからせっせとお金を下ろしてAIB(アイルランドに来てから開設した銀行口座、大学の斡旋ですぐに作れる)の口座に入金することによって実現させました。普通は日本から海外送金をするのでしょうが、なんだか色々とめんどくさかったのでこうしました。これももしPrestiaを開いてなかったら、そしてPrestiaにお金をそこそこ移しておかなかったら、と思うとぞっとします。今まで書いてきて思ったのですが、自分の留学はこういう綱渡りばっかりですね。

 

 

海外保険についてですが、USTEPの場合「付帯海学」という保険に強制的に加入することになります。その手続きも送られる書類の指示に従えば特に問題ありません。

こちらに来て11月中旬に胃腸炎に見舞われるという災難があったのですが、この保険のおかげで日本語のオペレーターを通してお医者さんを呼び、薬を買うことができて事なきを得ました。こういう保険はいざというときにやはり大事ですね。

 

外務省のたびれじは登録しました。留学生危機管理サービス(OSSMA)は別になくてもいいかと思ったので登録しませんでした(前期課程で留学する際は必須だったような気がします)。

 

 

あと、国際学生証も一応作りました。生協に置いてある応募書類に記入して直接窓口に申請をするか郵送すれば簡単に作れます。

トランジットで香港に立ち寄った際に海洋博物館に行き、学生割引を受けるために使いました。今のところその1回しか使っていませんが(アイルランドにいるときはUCDの学生証を見せれば問題ない)、海外旅行を積極的にしたいのであればつぶしが効いて便利だと思います。

 

出発直前に何していたか

そんなこんなで今年の5月~6月くらいにもろもろの手続き・準備を終えて、7月の下旬に引っ越しをしました。6年くらい住んでいた駒場を離れ、一度実家に引き揚げました。留学準備と並行して学期末の課題だの引っ越しの準備だのに追われていたので、結構大変でした。

 

 

8月の1か月間は実家で過ごしながら残った準備をしました。飯塚毅育英会の申請・面接もこの時期です。

医療品などは使い慣れている日本のものを買い足して持っていくことをお勧めします。皮膚科の薬とか歯医者の薬とかを多めにもらっておきました。シャンプー・石鹸・歯磨き粉なども日本から持ってきたものを使っています。

それから、こちらは天気が基本的に悪いためレインコートを買いました。あと、Kindleを買ってもらいました。ふと思いついたときに日本語の文献をインターネットで気軽に購入して読むことができるため、結構便利で役に立っています。課題に指定された小説がどうしても読みきれなくて、あわててKindle版の翻訳を買う、なんてこともしました。あと、10月下旬に日本で発売された『new game!』8巻もKindle版で買いました。

それから、変換プラグも急に思い出して東京の出発直前に買いました。変圧器は不要です。

 
 
9月4日からがガイダンスウィークだったのですが、ぎりぎりまで日本にいたかったので9月2日の早朝に東京を出発しました。地獄のような羽田の空港泊、香港でほぼ丸一日という激長トランジットを経て、ダブリンについたのは9月3日の朝です。
 
 
あと、Amazonプライムビデオは海外からだとロクに何も観ることができないというのが香港で発覚した時は地味にショックでした。どんなにしんどくても『new game!』があれば生きていける、とか思っていたのに完全に浅はかでした。もしアニメオタクであるならば、アマプラで事前にダウンロードしておく、Blu-rayを持参する、等の手段を講じておくことを強くお勧めしておきます。結構深刻なアニメロスに陥ります。新鮮なアニメが観てえ……。
 
あまりにもアニメに飢えたのでこちらに来てからNetflixの無料1か月利用を試してみました。アマプラに比べたらアニメのラインナップがはるかによかったです。何より『スマイルプリキュア!』の吹き替え版であるGlitter Force, 『ドキドキ!プリキュア』の吹き替え版であるGlitter Force doki-doki は日本では視聴することができないので有意義でした。しかしながらノリがあまりにもアメリカのアニメのそれだったので3話くらい観たところでもういいか、となってしまったのですが……。あと『スマイル』屈指の神回(やよいの父の日回、あかねとブライアンの回、など)をことごとくカットした全40話のラインナップは許さへんからな。
他には『リトルウィッチアカデミア』は日本語版も英語吹き替えもどちらも観られたので、観ておけばよかったなと思います。
 
そんなこんなしていたら10月~11月にかけての『少女☆歌劇レヴュースタァライト』のYoutube全話公開は神of神でした……と完全にアニメオタクの話へと脱線してきたのでそろそろ締めます。
 
 

おわりに

学部生のころから長きにわたって留学願望はあったのですが、やはり留学に来てよかったです。誰しもが必ず絶対に留学すべき、とまでは言いませんが、もし少しでも海外で学ぶこと・生活することに興味があるのならば留学を検討してみることをお勧めしたいです。

 

 

なんだかんだ言ってずっと日本にいると視野が狭くなってしまうように思います。一度自分のコンフォートゾーンを出て多様性のある環境に飛び出し、自分が多様性に溶け込まれる経験をする、というのは人生において一度は経験すべき有意義なことなのではないかと思います。たとえどんなキャリア設計をするにせよ、その経験はのちの人生できっと役に立つはずです。

 

 

本記事が少しでも留学への助けとなることを願い、いったん筆を擱きます。気が向いたら、こちらに来てからの生活面なり学業面なりについても書いていくつもりです。

 

 

 

※1:この制度、私が学部生だったときは全額負担してくれたのに、最近からは自己負担1万円という制度に代わってしまった。試験当日バックレる奴が多すぎて、そこそこの自己負担を強いる制度設計に変更したらしい。なんてギルティなんだ。
 
※2:「『絶対に許さない』と『絶対に許せない』のどっちだったっけ?」って思って調べてみたら、「絶対許さない」「絶対絶対許せない」「もう許せない」などいろいろなバリエーションがあったことがわかった。参考:https://www.youtube.com/watch?v=0FfpFzp7EQs(至極どうでもいい)