デューン 砂の惑星 PART2 | にしくんの映画感想図書館

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★★★★★★★★☆☆

2024年

監督  ドゥニ・ヴィルヌーヴ

出演  ティモシー・シャラメ  ゼンデイヤ

 

物語が大きく動く。壮大な映像と物語で描かれる、まさに”一大叙事詩”

 

その惑星を制する者が全宇宙を制すると言われる砂の惑星デューンで繰り広げられたアトレイデス家とハルコンネン家の戦い。ハルコンネン家の陰謀により一族を滅ぼされたアトレイデス家の後継者ポールは、ついに反撃の狼煙を上げる。砂漠の民フレメンのチャニと心を通わせながら、救世主として民を率いていくポールだったが、宿敵ハルコンネン家の次期男爵フェイド=ラウサがデューンの新たな支配者として送り込まれてくる。

 

フランク・ハーバート原作の「DUNE デューン 砂の惑星」の映像化作品にして、ドゥニ・ヴィルヌーヴ版の2作目。前作のティモシー・シャラメやゼンデイヤらに加えてオースティン・バトラー、フローレンス・ピュー、レア・セドゥが新たに登場する。

 

前作は壮大な物語の幕開けと言った感じで、大きな物語の冒頭部分を描いた感じだった。圧倒的な映像に、壮大な物語、豪華キャストが演じる魅力的なキャラクターなど、見どころは十分だったが、一方で地味な作品だったとも言える。それが本作では一転して、物語が非常に大きく動き、またポールというキャラクターの立ち位置も大きく変わる。

 

ハルコンネン家の策略によって母以外の一族を滅ぼされたポールは、砂漠の民フレメンの仲間となり、頭角を現す。気が付けば”救世主”として祭り上げられるほどに、熱狂的な信者が現れるほどだ。さらに本作ではポールの出自にまつわる話もされるなど、一気に物語が動き出す。

 

前作では頼りない感じがしたポールは、本作では砂漠の民の先頭に立つ存在にまで成長する。そこには現地民が信じる預言と、母であるレディ・ジェシカの思惑が絡まり、気が付けばポールは皆の先頭に立って戦う存在になった。彼は銀河中にいる権力者たちと戦う決意をしたのだ。

 

『DUNE』の面白さは、ポールのこういったカリスマ性や危うさというのは、実は現実世界を反映していて、特にイスラーム圏を想像しやすい。そもそも原作自体がかなりイスラム色が強いと言われているが、ポールはまさに預言者ムハンマドに置き換えることが出来る。そもそも砂漠や聖戦が大きなテーマであり、スパイスは現実世界における「石油」だ。そう考えると、元々はスパイスを採る側にいたポールが、砂漠の民の側に立って、皇帝に刃を向けるというのは実に面白い。

 

そんな壮大な物語を背負うのはティモシー・シャラメ。演技派の優男というイメージだったが、本作で彼は大作映画を背負うに値するスーパースターであることを証明して見せた。強烈な見た目のオースティン・バトラーも良かったのだが、やはり何と言ってもポールの後ろ盾となっている母を演じたレベッカ・ファーガソンの妖しさが良い。まるで黒幕のようだ。

 

物語が大きく動いた本作。次回作では大きな戦いが描かれると思うが一体どうなるのか。今からすごく楽しみだ。

 

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