ポトフ 美食家と料理人 | にしくんの映画感想図書館

にしくんの映画感想図書館

超個人的な映画感想ブログです。
観た作品のレビュー、映画祭・映画賞情報、アカデミー賞予想をメインにします。
作品レビューについては基本的にネタバレ有でなおかつ個人的な感想です。

宜しくお願いします!

★★★★★★☆☆☆☆

監督  トラン・アン・ユン

出演  ブノワ・マジメル  ジュリエット・ビノシュ

 

美麗なカメラワークと映像で映し出される料理がとにかく美味しそう

 

19世紀末、フランスの片田舎。「食」を追求し芸術にまで高めた美食家ドダンと、彼が閃いたメニューを完璧に再現する天才料理人ウージェニーの評判はヨーロッパ各国に広まっていた。ある日、ユーラシア皇太子から晩餐会に招かれたドダンは、ただ豪華なだけの退屈な料理にうんざりする。食の真髄を示すべく、最もシンプルな料理・ポトフで皇太子をもてなすことを決めるドダンだったが、そんな矢先、ウージェニーが倒れてしまう。ドダンはすべて自分の手でつくる渾身の料理で、愛するウージェニーを元気づけようとするが……。

 

第76回カンヌ国際映画祭監督賞受賞作品。監督は『ノルウェイの森』のトラン・アン・ユン。出演は『ピアニスト』のブノワ・マジメル、『イングリッシュ・ペイシェント』のジュリエット・ビノシュ。

 

自分は美食にはそこまで興味が無く、どちらかと言うと屋台で売っている様な、いわゆるB級グルメが好きな人間だ。手軽だし、細かいマナーも気にしなくて良い。しかし、どうやら世の中には食を追求し続け、まるで芸術作品のように作る美食家がいるらしい。本作の主人公ドダンもその一人。最も、彼一人でそれが成し遂げられているわけではなく、彼がひらめいた料理を実現する天災料理人である、ウージェニーがいてこそだ。

 

随分長い付き合いの2人だが、夫婦と言うわけではない。あくまで美食家と料理人の間柄であり、友人だ。彼らが手掛ける料理がとにかく美味しそうで、本当に観ているだけでお腹が空くような映画だ。本作の料理はミシュラン三星レストランのシェフが監修しているため、それも納得ではある。

 

しかし、それ以上に抜群の効果を発揮しているのは美麗な映像とカメラワークだろう。本作の調理シーンでは、演出的な照明を使わずに、自然光を活用している。さらに調理シーンはカット割りを基本的にはせずにワンカットで見せる工夫がされている。まるで流れるような調理シーンは、映像としても非常に美しく、自然の暖かな光がそれをさらに際立たせている。調理シーンは音楽なども入っておらず、調理現場の音を聞かせているのも非常に効果的だ。

 

まぁ物語的には普通ではあるのだが、とにかく美しい映像美と調理シーンは注目ポイント。観終わった後に、美食を食べたくなること間違いなしの、お腹が空くような映画だ。食事時にぜひ。

 

(C)Carole-Bethuel (C)2023 CURIOSA FILMS - GAUMONT - FRANCE 2 CINEMA