スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース | にしくんの映画感想図書館

にしくんの映画感想図書館

超個人的な映画感想ブログです。
観た作品のレビュー、映画祭・映画賞情報、アカデミー賞予想をメインにします。
作品レビューについては基本的にネタバレ有でなおかつ個人的な感想です。

宜しくお願いします!

★★★★★★★☆☆☆

2023年

監督  ホアキン・ドス・サントス  ケンプ・パワーズ  ジャスティン・K・トンプソン

声の出演  シャメイク・ムーア  ヘンリー・スタインフェルド

 

スパイダーマンの”お決まり”に挑むというのがも白い。相変わらず映像はぶっ飛んでる!

 

マルチバースを自由に移動できるようになった世界。マイルスは久々に姿を現したグウェンに導かれ、あるユニバースを訪れる。そこにはスパイダーマン2099ことミゲル・オハラやピーター・B・パーカーら、さまざまなユニバースから選ばれたスパイダーマンたちが集結していた。愛する人と世界を同時に救うことができないというスパイダーマンの哀しき運命を突きつけられるマイルスだったが、それでも両方を守り抜くことを誓う。しかし運命を変えようとする彼の前に無数のスパイダーマンが立ちはだかり、スパイダーマン同士の戦いが幕を開ける。

 

世界中で話題になったアニメーション映画『スパイダーマン:スパイダーバース』の続編。前作の主要キャストが続投した他に、ジェイソン・シュワルツマン、ダニエル・カルーヤ、オスカー・アイザックら実力派の俳優が加わった。

 

『スパイダーバース』はまるでコミックがそのまま飛び出してきたかのような映像がとにかく凄かったが、本作でもそれは健在で、相変わらず映像の情報量が激しく多い作品だ。それが目まぐるしく、とにかく動く動く。でもかと言って疲労感があるかと言われるとそうではない。まぁ本作は上映時間が長めなので、多少疲れはするが、疲労感と言うわけではない。

 

本作ではマイルスとグヴェンの関係にも変化が訪れる。まぁ年頃の男女だ。そういった甘酸っぱさも本作が楽しいポイントだ。前作で登場したピーターもいい味を出してくれている。前作で登場したマイルス、グヴェン、ピーターのキャラがさらに深掘りされているのは非常に良かったと思う。

 

一方で新キャラがそこまで印象に残らなかったのは少し残念なところ。スポットというヴィランこそ登場するものの、本作ではそこまで目立ってはいないし、ミゲル・オハラもそこまでではない。しかし、これは仕方がない部分がある。というのも本作は続編となる『ビヨンド・ザ・スパイダーバース』とセットとなっている作品で、本作はいわば前半部分。そして前半部分である本作で一番面白い部分は新たに登場したキャラクターではなく、主人公が背負う大きな”宿命”だ。

 

スパイダーマンという作品を振り返ってみると、主人公は常に大切な存在を失ってきた。ベンおじさん、ベルおばさん、グヴェン、スターク・・・スパイダーマン=ピーター・パーカーは常に大切な存在を失い、それを乗り越えてきた。それこそが彼がスパイダーマンであるゆえんだ。

 

ではマイルズは何を失ったのか?彼は自分にとって愛する者を失っていない。そんな彼は「スパイダーマン」である資格があるのか?スパイダーマンと言う作品の「お決まり」に、自らが問いを投げかかる。これほど粋な作品を、スパイダーマン作品が数多く作られてきた21世紀に作るとは、脱帽である。

 

ヒーローとして、大切な人達を守りたいと思いスパイダーマンになったのに、その大切な人を失わなければスパイダーマンであることは許されないという究極の矛盾。続編でどのような結末を迎えるのか非常に楽しみだ。

 

(C)2023 CTMG. (C) & TM 2023 MARVEL. All Rights Reserved.