★★★★★★★☆☆☆
2022年
監督 ジョーダン・ピール
出演 ダニエル・カルーヤ キキ・パーマー
恐怖演出が純粋に楽しい一作
田舎町で広大な敷地の牧場を経営し、生計を立てているヘイウッド家。ある日、長男OJが家業をサボって町に繰り出す妹エメラルドにうんざりしていたところ、突然空から異物が降り注いでくる。その謎の現象が止んだかと思うと、直前まで会話していた父親が息絶えていた。長男は、父親の不可解な死の直前に、雲に覆われた巨大な飛行物体のようなものを目撃したことを妹に明かす。兄妹はその飛行物体の存在を収めた動画を撮影すればネットでバズるはずだと、飛行物体の撮影に挑むが、そんな彼らに想像を絶する事態が待ち受けていた。
今最も勢いのある映画人の一人であるジョーダン・ピール監督作品最新作。『ゲット・アウト』に出演したダニエル・カルーヤ、キキ・パーマーらが出演。
近年『ゲット・アウト』に『アス』と話題作を連発しているジョーダン・ピールの最新作とあって、注目度も高かった本作。予告編からもSFホラー的な匂いがする作品だったが、予想外ではあったものの、SFホラー映画というジャンルになるだろうか。
この映画で大きなポイントになるのは馬やチンパンジーと言った動物だ。実用的にせよ商用的にせよ、どちらも人類が長い間使役してきた動物である。そんな彼らがふとした瞬間に見せる野生が大きな恐怖を私たちに与える。中でもチンパンジーはかなり怖いシーンがあるので、ここはぜひ注目して頂きたい。
そして予告編にもあった空にいる何かである。何がいるのか知りたいのに、知ってしまったら何が起きるか分からないという絶妙な恐怖がクセになる。大方の予想はUFOなのだろうが、これはいい意味で裏切られるので、是非とも映画館でその正体を確かめて欲しい。
正直言ってこの作品にピールが込めた社会的な背景がどれくらいあったのかは、私には分からないがピールの作品が秀逸なのはそういった社会派な部分を抜きにしても純粋に楽しめるところではないだろうか。本作も純粋に怖いと感じるシーンが数多くあって、ホラー映画として普通に楽しい作品となっている。
このご時世に謎の飛行物体を撮影してバズらせようという登場人物たちの行動も嫌いではない。まぁ撮影したところで結局はCGだなんだと言われる可能性が高いかもしれないが。少し昔のオカルト的なノリは個人的には嫌いではない。
上映時間的にもちょうどいい作品で、かなり見やすい作品だと思う。まだ残暑が厳しい日本の夏、本作を観て肝を冷やしてみるのも悪くはないだろう。
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