ジャスティス・リーグ ザック・スナイダーカット | にしくんの映画感想図書館

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作品レビューについては基本的にネタバレ有でなおかつ個人的な感想です。

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★★★★★★★★☆☆

2021年

監督  ザック・スナイダー

出演  ヘンリー・カヴィル  ベン・アフレック  ガル・ガドット  ジェイソン・モモア  エズラ・ミラー  レイ・フィッシャー

 

劇場公開版とはもはや全く別の映画になっている

 

スーパーマンの犠牲を無駄にしてはいけないと考えたブルース・ウェインはダイアナ・プリンスと組み、迫りくる脅威から世界を守るため超人たちのチームを作ることを決意。一筋縄ではいかない個性的なヒーローたちは、それぞれに過去を抱えながらも、チームとしてひとつにまとまっていくが……。

 

2017年に公開された『ジャスティス・リーグ』のディレクターズカットとも言える作品。監督はザック・スナイダー。出演はヘンリー・カヴィル、ベン・アフレック、ガル・ガドットを始めDC映画で活躍するお馴染みのメンバーたち。劇場版には出番が無かったジャレッド・レト演じるジョーカーも登場している。

 

2017年に公開された『ジャスティス・リーグ』はザック・スナイダー監督の家族に不幸があり、監督をジョス・ウェドンが引き継いだ。しかし、その作品があまりにも酷評されてしまい、画興行的にも失敗。DCエクステンデット・ユニバースのクロスオーバー構想も見直しとなってしまった。この頃よりファンの間でかねてよりザック・スナイダー監督版を見せろという署名活動が盛んにおこなわれていた。そして俗にいう「ずないだー・カット」の存在が明らかになり、この度配信リリースと言う形で世に放たれたわけだ。

 

こうして日の目を見た『ジャスティス・リーグ スナイダー・カット』だが、なるほど確かに。劇場公開版とは全く違った印象を受ける。というより、もはや全く別の作品と言える。映像の色彩から演出から、音楽から何から何まで違う作品だ。どこか陰鬱で、ヒーローたちにもどこか影がある。それはまさに「スーパーマンの死」という危機に瀕している状況がそうさせるのだろう。そしてこの重厚な雰囲気こそ私たちが待ち望んだ『ジャスティス・リーグ』であり、ザック・スナイダーを望んだ理由でもあるのだ。

 

やはりシーンの見せ方ひとつとっても劇場版とは全く違う。例えばロンドンでワンダーウーマンが人質を助ける場面だが、ここの一連のアクションシーンはまさにスナイダーの真骨頂ともいうべき場面の一つだ。スローモーションと早回しを巧みに使い分け、短いアクションシーンをじっくり描く。これは彼のこれまでの監督作品である『300』や『ウォッチメン』でも見られる演出だ。

 

キャラクターの掘り下げもより徹底されている。特に注目すべきはサイボーグとフラッシュの2人だ。サイボーグは本作ではより物語の重要な要素となっているし、その誕生に隠された悲劇性や親子の物語は非常に見応えがある。フラッシュは本作で初めて力を使うシーンが美しい映像で表現されている。かなりロマンチックな演出になっている。

 

本作には劇場版のメインヴィランであるステッペンウルフのさらに上に位置するヴィラン「ダークサイド」が登場する。ジャスティス・リーグのメンバーと本格的に戦うわけではないのだが、この戦いは是非とも観てみたい。というかここまで見せてくれたんだから見せてくれ。

 

4時間を超える作品となっているわけだが、退屈する場面は全く存在しない。一度観た映画と思う場面は一度もなく、やはり本作は劇場版とは全く違った雰囲気を持つ作品だし、ジョス・ウェドンの作品にあったポップさは全く存在しない。個人的にはザック・スナイダー監督作品は全部チェックしていて、好きな監督の一人であるので、このバージョンを観ることが出来たのは非常に嬉しい限りだ。

 

一方で気になるのはこの作品を劇場で公開するとなった時、ではどれくらいの尺の作品になっていたのかという点。まぁこれは今後あり得ることは無いのだから考えても仕方ないが、このバージョンの劇場公開版を見てみたい気もした。そして最も気になるのは今後この映画の続編は作られるのかという点だ。確かにDCエクステンデット・ユニバースのクロスオーバーは思うように進んでいない。しかし、個々の作品は大きくヒットしているし評価も高い。何よりも「ダークサイド」を見せられた身としては、彼との決着を描いてほしい気持ちが当然ある。これは多くのファンがそうだろう。

 

ひとまず今はこの「スナイダー・カット」を観ることが出来た喜びを噛み締めながら、続編を密かに期待したいところだ。