志望していた大学の指定校推薦について高校から内定を得ていた高校3年の男子生徒が、高校側のミスによって出願条件を満たしていなかったことが後から判明し、進学できなくなった。
発端は2023年8月。
高校で指定校推薦の募集要項が提示され、生徒は第一志望の大学にエントリーした。推薦枠は1名。
エントリーシートと誓約書を提出し、高校から内定を得たとき、本人も家族も胸をなで下ろしたという。
ところが10月、高校から突然連絡が入る。
「ミスがあり、実は出願資格を満たしていなかった」
指定校推薦には数Ⅲまたは物理の履修が必要だったが、生徒はいずれも選択していなかった。
大学から示されていた条件を高校が募集要項にまとめる際、重要な要件が抜け落ちていた。
その時点で、第2志望として考えていた大学の推薦枠は、すでに別の生徒に決まっていた…。
指定校推薦は大学と高校の個別の取り決めで、詳細は公開されない。
生徒も保護者も、高校から示される情報を信じるしかない仕組み。その中で起きたミスだった。
そして、訴訟になった。
男子生徒は「入学当初から指定校推薦を見据えて学校生活を積み上げてきた努力が、学校のミスで無にされた」と訴えた。
一方、高校側は「そもそも出願資格がなく、第2志望校は別の生徒の方が評点が高かった。受験機会を奪ったとは言えない」と反論。
高校はミス発覚後、特例として別の大学の指定校推薦を提示し、第一志望の大学についても公募推薦(指定校推薦ではなく)を認め、数Ⅲ対策も行っていた。
結果として生徒は代替の指定校推薦先に進学した。
裁判の行方は?
2025年12月、地裁は高校側の不法行為を認定した。
正しい情報に基づいて進学先を選び、受験する機会そのものを失わせた点を重く見た判断だと思う。
受験先を選択できることは人生の大きな節目であり、「結果」だけで測れない価値がある。
賠償額は学校側の事後対応を考慮して減額されたが、生徒が訴訟に踏み切った決定打となったのは、校長からの謝罪が一切なかったことだったという。