「受験と資産運用は全く同じ構造」というネット記事。
金融の専門家が中学受験について語る内容は、ビジネスの世界にいる親からすると少しくすぐられるものがある。
記事では、チャレンジ校と安全校といった受験校の組み合わせを「ポートフォリオ」に例えていた。
読んでいて少し引っかかるところもあった。
受験における「リスク」とは何で、「リターン」とは何なのか。
偏差値の高いチャンレンジ校に受かることが高リターンなのか。
あるいは不合格は失敗なのか。
そのあたりは、実はかなり曖昧な気がする。
考えてみれば、偏差値と株価はどこか似ている。
どちらも参加者の人気や期待、思惑を反映して上下する。
もちろん一定の実績は反映されているのだろうが、「本当の(本来の)価値」がどこにあるのかはよくわからない。
親は投資家のようなものかもしれない。
限られた時間とお金を、塾や習い事、家庭学習にどう配分するかを考える。
どの学校を受けるのか、どこまで挑戦するのか。
そう考えると、受験戦略を資産配分になぞらえる感覚は何となく理解できる。
一方で、受験は投資とは違う面もある。
投資は基本的には数字で評価されるが、学校選びはもっと曖昧で人間的。
「偏差値が高い学校が正解」とも言い切れず、その子に合う学校に出会えれば、それが結果として最良の選択、ということもある。
縁があった学校が、その子に合う学校という見方もできる。
何が成功で何が失敗なのかは、その時点ではわからない。
後になって初めて意味がつながる。
アップル創業者のスティーブ・ジョブズが 言っていた、connecting the dotsという言葉を思い出す。
受験で悔しい思いをした経験が、その後の大きな挑戦につながることもある。
失敗したこと、挫折したこと自体が、後になって振り返れば財産だったというケースも少なくない。
受験は「通過点」と言われる。
高い目標を掲げて挑戦し、うまくいけばもちろん嬉しい。
しかし、うまくいかなくても人生が終わるわけではなく、むしろプラスになることがある。
そう考えると、受験は意外に「ローリスク・ハイリターン」なのかもしれない。
人生の早い時期に、自分で考え、悩み、挑戦し、時に失敗し、それでも前を向く経験を積める。
その価値は、合否結果そのものよりも、ずっと大きい可能性がある。
