経済系の記事に目を通していますが、先日、このようなものがありました。
記事中にある分数の問題ー
「1/2+1/3」の答えに最も近い数字はどれか。0、1、2、5の4つの選択肢の中から選べ。
中学の数学の成績が振るわず補講の対象となった生徒5人に対し、この問題を解いてもらったところ、5人のうち4人が「5に近い」と答え、残りの1人は「2に近い」と答えたという話が出てくる。
公立中ではない。
私立の中高一貫校での話。
え?
小学生がやるような、分母の2と3を足して5にしてしまうというような話かと思ったが、そうではなかった。
興味深いのは、「1/2+1/3」の計算自体はできていた、という点。
5/6と正しく計算していたという。
さすがに入試を経て中学に入っているので、分数の足し算はできている。
え?
何が起きている?
一体、どういうことなのか。
まず思ったのは、計算の仕方を習得することと「数の概念」を理解することとは別だということ。
計算は、それ自体「テクニック」であり、決められた手順通りにやるだけなので、その手順さえ覚えてしまえば、ある意味何も考えずに出来るようになる。
これに対し、数の概念はもっと抽象的で、「目に見える数字」ではなく「量」として考えるもの。
5/6を5に近いと認識したのは、計算結果である「5/6」が「5に関係していることを表している」と考えたからではないか。
5を6で割ると、答えはゼロ、余りが「5」とでてくる。
選択肢の中で、5が一番「関係ありそう」。
そんな風にとらえたのかも知れない。
分数は、割合を表すことにも使われます。
5/6は、「5」という数と「6」という数を比較していると解釈できます。
6を基準にしたときに5はどうなるかを表現したもの。
つまり、「5」を対象として見ています。
6が「もとにする数」で、5が「くらべる数」。
比で言えば、5:6の比の値。
実際のところ、分数が出てくる場面は、比や割合が関係してくることが多いです。
分数を数としてではなく、「割合の表現」や「表記の方法」として見てしまうと、「量」としては捉えにくくなるのかもしれません。
例えば、5/6と45/54とでは、表記の仕方、つまり「意味」が異なります。
そこに引っ張られると、一見して「同じ数」とは認識しにくい。
そもそも「数」と「数の表現方法」を比べること自体がよくわからないなんてことになりかねません。
こんなときは分数を全て小数で考えるとわかりやすいのでは?
5/6=0.8333…
「0.8333…という数に最も近い数は、0、1、2、5の中のどれか」
こういう聞かれ方をしたら、また違う結果になったかも知れない。
(参考)