まず、実際に灘中入試で出た算数の問題から。

 

つぎのような出題がありました。

 

89の倍数と、113の倍数を小さい順に並べていったとき、50番目の数はいくつか?

 

89、113、178、226、267、339、356、445、452、…、

 

計算問題?

 

ひたすら89の倍数と113の倍数を計算し、小さい順に並べ替えて数えていけば答えはわかります。

 

いくでも時間をかけられればそれでいいですが、入試は違います。

 

この問題であれば、長くて5分、できれば2-3分で回答しないと他の問題もあるので厳しいです。

 

これくらいの短い時間に答えを出すには力技での計算は無理があります。

 

どうしたら出せるかを「考える」しかありません。

 

数を「量」として捉え、また目の前にないモノ(ここで言えば先の50番目)を想像するのは抽象的な作業なので、ある程度子どもの精神的な発達と、コツ、そして訓練が必要になるように思います。

 

例えば、先の問題では、目指す50番目の数は、どれくらいの大きさの数になるのか。

 

89も113もともに100に近い数。

 

それぞれ25個ずつと見積もれば、100×25=2500 の近くの数になると予想されます。

 

だいたいの見当。

 

小さい順に並べた、1番目から50番目までの50個の数の中で、89と113の倍数はどっちが多いのか。

 

さっきはざっくり見当つけるため、25個ずつとしましたが、実際には89の倍数の方が数が多くなります。

 

89の倍数の方が多いとしたら、50個の数の中で、89の倍数と113の倍数の比率はどれくらいになるのか。

 

真面目にやろうとしたら113:89になるはずですが…。

 

うーん、こんな計算はしたくないです。

 

もっときりよく、6:4とかになるといいんですが…。

 

より大きな113を基準にしたとき、113の倍数が小さい順にいくつ増えたら89の倍数がいくつ増えるのか。

 

113と89の差は24なので、3つ分(=24×3=72)では89に届きません。

 

89と113は足して202、2つの数の真ん中の数は101…。

 

何か「手がかり」を探すしかありません。

 

天才でない限り、本番になっていきなり「ひらめく」ことは期待できません

 

日頃から、あーでもない、こーでもないと頭を使って鍛えていないと初見の問題に対応することは難しいと思います。

 

スゴい中学の先生が時間をかけて練った問題を作っているので、意味のない問題はなく、一見、無味乾燥に見えても、そこには必ず「問題の意図」があるはずです。

 

ただ一通りの解法だけ知っている生徒と、その場で考える力のある生徒を見分けるためです。

 

「さすがだな」と思うこともありましたし、「それを小学生に聞くのか?」と思うこともありました。

 

そんな問題に出会えることも中学受験の魅力の一つだと思います。