今年、首都圏のある大手塾が公立中高一貫校受検指導から撤退したと話題になった。

 

公立中高一貫校の入試は、学校法施行規則により学力検査を行わないことになっているため、「適性検査」という形で実施される(だから「受験」ではなく「受検」)。

 

現在、都立中高一貫校は10校。

 

都立中高一貫校の受検倍率はどの学校も軒並み低下傾向にあり、2024年入試では、一番倍率が高い都立三鷹が4.5倍、最も低い都立武蔵が2.5倍だった。

 

5年前は、最も倍率が高かったのが都立白鷗で6.7倍、最も低かったのが都立立川国際で4.5倍あった。

 

受検者数の減少によってマーケットが縮小したことに加えて、難関私立中志望者が公立中高一貫校を併願する形が増えていることも影響しているようだ。

 

そういえば、公立中高一貫校受検の世界では長年、高い合格実績を誇ってきた塾ena)が今年から「私立化」に大きく舵を切ったことも記憶に新しい。

 

都立中指導一辺倒から「私立も都立も」合格する塾に変わろうとしている。

 

塾の経営の観点から、公立中高一貫校受検指導だけでは先細ると考えたのかもしれない。

 

大手塾は、主力のコースはあくまで私立中受験指導なので、市場規模が縮小している分野で、かつメインでないところにリソースをかけて維持するのはあまり合理的ではないとの判断か。

 

公立中高一貫校の適性検査は、教科横断的に思考力や分析力を試し、また解答の記述量が多い問題構成になっており、しっかりした受検対策が必要。

 

一方、一部の難関私立中入試においては、知識だけでなく、思考力や応用力が問われることが多くなっている。

 

その意味では、一部の難関私立中の対策と公立中高一貫校の受検対策がクロスするようになってきていて、以前ほど「別モノ」ではなくなったことを表しているようにも見える。

 

難関私立中の受験者層とクロスすることで一部の公立中高一貫校は難化の傾向がみられる。

 

例えば、都立小石川のY偏差値は、この5年で、66→69(女子)、66→68(男子)と上昇している。

 

受検倍率は低下傾向にある一方で、一部では難易度は上昇しているところもある。

 

御三家や渋渋、広尾学園といった学校との併願も増えているよう。

 

私立中高一貫校対策の塾に通いながら都立中を目指す。

 

そんな戦略も取れるようになってきているのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

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(親子で中学受験に挑んだ3年間の激闘の記録)

 

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