中学入試では合格者を定員よりも多く出す学校があります。
学校側が予め辞退者を見込んでいるためです。
首都圏で御三家といわれる学校も例外ではありません。
例えば、開成、麻布、桜蔭、女子学院を例にとると、この4校の募集定員合計は1075人ですが、2024年の合格者数は計1,346人でした。
定員の約1.25倍の合格者数を出しています。
定員を超える部分は、辞退者を見込んだバッファー分になります。
学校側の想定よりも多くの辞退者が出て定員を埋める必要が出てきた場合、追加で合格者を出すこともあります。
この繰り上げ合格は必要に応じて学校の判断で行われるものですので、必ずあるかどうかはわかりません。
タイミングとしては、合格発表後から順次出てくることが考えられますが、首都圏の統一招集日である2月11日前後がひとつのポイントになります。
首都圏では入試合格者向けの入学説明会をこの日に行う学校が集中しており、多くの場合、本人と保護者の参加が義務付けられています。
欠席した場合には「入学辞退」と見なされると募集要項などに書かれています。
複数の学校から合格を得ていて、ギリギリまで迷って辞退連絡をしていないような場合であっても、物理的に複数の入学説明会に同時に参加することはできないので、多くの場合、このタイミングで進学先が確定することになります。
繰り上げ合格を行う場合、学校側は該当者に個別に連絡することになりますが、公式発表されないケースが殆どだと思います。
第三者が知る手がかりとなるのが、塾が合格発表後に速報している合格者数の変動で、特に2月11日以降に合格者数が増えている場合、繰り上げ合格によるものと考えられます(それ以外の理由もあるかもしれません)。
あくまで推定ですが。
例えば、SAPIXの今年の開成合格者数は、2月10日時点では246人としていましたが、12日に252人、14日に255人、18日に260人となり、最終的には262人になりました。
この塾では、一番最初の合格者速報(2月4日の236人)と比べ26人増加していました。
同様に、大手の塾の当初速報値と最終的な合格者数の差を取っていくとトータルで約50人となりました。
全て繰り上げ合格なのか本当のところはわかりませんし、塾を掛け持ちしている場合にはダブルカウントされている可能性もありますが、ひとつの推計になり得ます。
開成はもともと300人の定員に対し、400人以上の合格者を出しており、更に50人近い繰り上げ合格が出た可能性があることがわかります。
同様にして他の学校も見てみますと、例えば、
筑駒は120人の定員に対し、合格者128人、推定繰り上げ合格者が20人近く。
例年よりも繰り上げ合格者(推定)が多かったと話題になりました(例年は数名程度)。
麻布(定員300人、合格者352人)の推定繰り上げ合格者は10数名でした。
辞退者がこれだけ多いのは意外かもしれません。
最難関校といえども、受験生に「選ばれる立場」にあるというのが現実です。