中学入試の難易度と比べて「出口」の実績がいい学校、いわゆる「お得校」についてブログで取り上げたことがありました。
中学入学時の偏差値=「入口」と、卒業時の大学進学実績=「出口」を比較する考え方。
直近の週刊ダイヤモンド(2024年4/6-16合併号)でもお得校ランキングが出ていました。
詳しくは記事をご覧いただければと思いますが、概略は以下のとおり。
中高一貫校の中学入試での偏差値(2024年、日能研80%)と、その学校の卒業生の大学合格実績(2023年)を比較。
高校の大学合格実績を数値化する方法として、合格大学の偏差値(駿台)と合格者数を元にその加重平均をとる。
グラフの横軸に中学入試偏差値、縦軸に合格大学の平均偏差値をとり、学校毎にプロットしていく。
すると散布図が出来るので、そこから回帰分析して求められた回帰式(直線)を引く。
回帰式よりも上側にプロットされた学校が、回帰式から導かれる「理論値」よりも高いので、この差の大きさが入学後の学力の伸びを表す「伸長度」。
説明するとわかりにくいですが、図であらわすと下のようなイメージ。
(あくまでイメージを表した模式図です)
例えば、桜蔭は、中学偏差値68に対し、合格大学平均偏差値が61前後で、回帰式からの理論値を2.56ポイント上回っているので(直線の上側にある)、難関校(中学偏差値60以上)の中で最も伸長度が高い、となっていました。
ランキングは、桜蔭の後、早稲田、駒東、開成と続く…。
「???」
これらの学校の「伸長度」が高いと言われても…。
ホントに「お得」なのでしょうか?
そもそも、生徒の学力を伸ばす力がある学校を探そうというときに、今年の中学入試の偏差値と昨年の大学合格実績を比べて意味があるのか?
今年中学に入った子と、昨年(あるいはそれ以前に)その学校(中高一貫校)を卒業した生徒は全く関係がありません。
2023年に卒業した生徒が入学した6年前の中学入試と比較しないと学力が伸びたかわからないような…。
中学入試の偏差値の高い学校が、より偏差値の高い大学の合格実績が高いのは当たり前と言えば当たり前です。
前年の大学合格実績が良好であったことから翌年の中学入試においてその学校が人気化し偏差値が上昇した、ということも考えられます。
それが「学校の努力」によるものなのか…、
また、データ上、大学合格実績は「のべ人数」でカウントされてますし、浪人生も含まれているか不明で、「粗い」数字にみえます。
大学合格実績を押し上げているのはその学校の「上位層」で、1人で何校も受けて受かった実績が全てカウントされている可能性があります。
さらに違和感があったのが、回帰式の「理論値」を上回った大きさを「伸長度」としている点。
散布図を見ると、回帰式の上下にいろいろな点がプロットされていましたが、上に離れた学校が本当に「お得さ」を表すの?
回帰式から離れているということは、「外れ値」(特殊要因)の可能性もありますし、そもそも回帰式の精度があまり高くないのかもしれません。
理論値からの1、2ポイントの差にそれほど大きな意味があるのかなと思います。
統計の専門家ではありませんが、素人がみても疑問点が多く残りました。