前回、1回入試の私立中学について取り上げました。
名門校がずらりと並びました。
これに対し、複数回入試の学校は1回入試の学校に劣後するのかと言えば決してそんなことはないと思います。
例えば、聖光と豊島岡女子。
ともにトップレベルの学校で、特色のある難関校。
両校とも、入試が1回だけでも十分に優秀な生徒が集まる気がしますが、これらの学校では、戦略的に複数回入試を導入し、独自の地位を確立していると思います。
ともに第1回の入試を、首都圏中受生が最も集中する2/1を外し、2/2に設定しており、第1回の募集定員が全体定員の約7割とウエイトをかけています。
2023年のサピ生のデータによれば、聖光受験生の2/1の受験校は、開成、駒東が多くを占め、2/3の受験校は、浅野、筑駒が多くなっていました。
一方、豊島岡受験生の2/1の受験校は桜蔭、女子学院が多くを占めていて、2/3の受験校は豊島岡(2回目)が多く、筑附と慶應中等部が若干。
御三家レベルとの併願が多いという点も共通しています。
また、千葉の渋幕も、2月2日に第2回入試を設定しています。
ここも2/1を外しているのがポイント。
渋幕は共学進学校ナンバーワンといってもいい学校で、同じ系列の渋渋が2/1に続いて2/2に第2回入試を行うのに合わせて入試を実施しています。
以前書きましたが、渋幕も男女御三家との併願が多くなっています。
サピ生データでは、開成、麻布、桜蔭受験生の一部が2/2に渋幕又は渋渋を受けていました。
2/2の渋幕については、1月に力を出し切れなかった御三家受験組が参戦していると思われ、可能な限り優秀な生徒を取り込もうとする学校側の意図が感じられます。
2/2については女子はレベル的に豊島岡女子とバッティングしていて、サピ生のデータを見ても女子御三家受験組はそちらにかなり流れていました。
一方、男子の方は、2/2は、上位層が受ける聖光や栄光とは地理的に異なり住み分けできるので、その機会は十分にあると思います。
渋幕の合格者数は男子が女子の倍以上になっています。
渋渋の方は、二段構えで2/1と2/2に入試を行ったあと、終盤の2/5にも入試日程を置いています。
万全の体制。
2/3は国公立などとの競合があり、2/4は聖光や豊島岡の入試があるため、それを踏まえた日程ということかと思います。
各校の入試日程のチョイスと募集の仕方を見ると、その学校の生徒確保に対する意識や戦略を感じることができます。
(志望校選びの参考に)