昨今の中学受験の過熱ぶりにフォーカスした記事は本当にいろいろありますが、最近見たある雑誌の記事で、過熱する中受ブームの象徴としてその筆頭に取り上げられていた中高一貫校が栄東でした。
毎年8千人近い受験生が押し寄せる人気校。
高校偏差値は慶應志木や県立浦和などに次いで埼玉県内4位だが、中学受験での偏差値は、10年前の平均60前後から、今や70を超える難易度を誇る首都圏の人気校に。
直近の東大合格者数2けたなど年々、難関大合格者が増えていることや、受験日程が東京や神奈川入試よりも早く、受験生の腕試しの場としてベストであることが人気の背景。
まあ、全くの間違いとは言えませんが…。
中学受験についてよく知らない読者がメインなので、上記内容の記事を見ると、首都圏では中学受験の一大ブームが巻き起こっていて、皆が私立一貫校に殺到して人気が急上昇しているように見えてしまいます。
何か大変な事態になっているような気がしてきます。
栄東についてはこれまで当ブログで何度が取り上げたことがあります。
我が家でも息子が受験しました。
そもそも栄東の受験生は8000人ではなく、直近では12000人近いですし、それは様々な受験コーストータルの「のべ人数」。
栄東がここまで受験者数を伸ばしてきているのは、中受ブームの過熱というよりも、この学校独自の戦略と、首都圏で最も早い入試日程で立ち位置を確認しておきたい(入試に慣れて合格もゲットしたい)という受験生側のニーズが合致し、幅広い層の受験生がまず受験を検討する学校として定着したからだと考えられます。
12000人近くが受けて、7000人近くが合格する私立中は他にありません。
(実際の入学者数は300数十人)。
こうしたユニークなポジションにある学校を、中受ブームの代表格のように見るのはそもそも無理があると思います。
同校の偏差値が10年前の60前後から70を越えるレベルにアップした、というのもどうなんでしょうか。
栄東には様々な受験コースが用意されていますが、最も一般的なA日程(1/10)のY偏差値は58くらいですし、サピだったら51とかそれくらいだと思います。
ガチ勝負の東大特待コースだったらY偏差値60台後半というのはありますが…。
それでも、同コースの受験生は全体の約15%でしかないので。
要は、受験コースによっても大きな幅があり一概に言えません。
中学受験を知らない人に、「偏差値50台の人気校」といっても全く響かないので、どこかからデータを無理やり引っ張って来てるのだと思います。
また、記事では大都市圏の中学受験熱は一過性のブームではなく、「常態化」していて、2023年の私立・国立中受験者数は過去最多を更新し、首都圏の私立・国立受験率は18%、関西でも10%を超えて過去最高と指摘していました。
これも事実なんだと思いますが、この先も受験者数が増え続けるかわかりません。
受験率18%とか10%といっても、裏を返せば、依然として都市部でも8割から9割近い圧倒的多数は中学受験していないわけです。
中学受験は引き続き、ごく一部地域のニッチな世界であることには変わりがないと思います。
小3からの通塾にかかる費用を含めた家計への負担が大きいとか、受験生の家族にかかる負荷が極めて大きいとの指摘もありますが、中学受験を知らない人にとっては、奇異に映るだけでしょうし、中学受験を考えて居る家庭にとっては当たり前ないしリサーチ済みの話しかと思います。
中学受験に関する事実やそれに対する見方は、事情を知っている人とそうでない人は全然違っていて、かみ合わないということを改めて認識しました。
Noteでも情報発信しています。
(親子で中学受験に挑んだ3年間の激闘の記録)