中学入試算数の問題で、ある数が、特定の数(3や4など)の倍数かどうかというのは良く使います。
いちいち割り算しなくても倍数かどうかわかれば便利ですし確認に使って計算ミスを防ぐこともできます。
直接問題になることもあります。
息子が受けた2022年の開成中でも、
1234567+2345671+3456712+4567123+5671234 を計算した結果を9で割ったときの余りを求める問題が出ました。
9の倍数判定法を使えば、足し算するまでもなく瞬殺できる問題でした。
難関中受験者であれば、2から9までの数の倍数判定法は熟知していると思います。
この中でも7の倍数はちょっとマイナーですが…。
時々、11や13の倍数が問題となることもあります。
例えば、ある私立中で実際に出た問題。
11の倍数で5けたの数があり、各位の数字がどれも相異なるとき、最大の数はいくつか?
11の倍数判定法を知らないとなかなか解けないと思います。
別の私立中の問題。
2▢01▢5という6けたの数で、13の倍数はいくつあるか?
(▢の中には0から9までの数字が入る)
普通、13の倍数判定法までは塾ではやらないかもしれません。
ここで考えるべきなのは、倍数判定法を多く覚えておくことではないと思います。
覚えてもその後使わないとすぐに忘れてしまうかもしれないからです。
なぜその方法で倍数を判定できるのか、その仕組みを理解することの方が大事です。
倍数の問題は、中受塾では、「数の性質」で小4くらいから出てくる単元です。
普通、塾のテキストやプリントでは、例えば「各位の和が3の倍数になる場合、その数は3の倍数」と習います。
なぜそうなるのか、倍数が判定できる仕組みまで詳しく解説がないかもしれません。
例えば、
Aを百の位の数字、Bを十の位の数字、Cを一の位の数字として、ABCという3けたの数
を考えてみます。
普段目にする数字は、10進法で、10ずつ位が上がっていくシステム。
ABCという数は、100がA個、10がB個、1がC個あることになります。
見方を変えると、Aが100個、Bが10個、Cが1個あるのと同じです。
Aを99個と1個、Bを9個と1個にわけることができます。
99や9は、明らかに9の倍数。
つまり、ABCという数は、9の倍数にAとBとCを足したものと考えることができます。
式で書くと、
ABC=100A+10B+C=9(11A+B)+A+B+C
A+B+Cが9の倍数なら、ABCは9の倍数ということになります。
各位の数字が入れ替わって、BCAやCABになっても同じです。
9は3の倍数なので、A+B+Cが3の倍数なら、ABCは3の倍数ということになります。
A+B+Cを9で割った余りが1なら、ABCを9で割った余りも1になります。
3ケタで考えましたが、けたが大きくなっていっても同じです。
例えば、1234567という数は、各位の和が28なので、9で割った余りは1。
同様に、2345671という数を9で割った余りも1となります。
9の倍数判定では、上のように、10を9と1に分ける考え方でしたが、10を11と-1(マイナス1)に分けて考えると11の倍数判定ができます(各位を下から符号を変えて足しあわせたものが11の倍数かどうかで判定する方法になります)。