企業人の目線からみた、子どもの教育についての考えを取り上げたいと思います。
そもそも子どもの学習態度や能力にバラツキがあるのは当然。
それが「個性」であり、「多様性のある社会」は多様な個性が尊重される社会。
日本の教育現場には昔から「個性」という言葉がずっと存在していない。
そのため、平均的ではない子どもたちはみな「プロブレム(問題)」扱いされる。
いまの時代、「日本で高偏差値の大学に入ることが子どもの幸せに直結する」と、どこまで確信を持って言い切れるか。
どんな学校に入るかとか、どんな企業に入社するかといった表面的な成果を目的にするのではなく、「幸せになることが得意な人格」の形成を目的にすべき。
OECDの「ラーニングフレームワーク2030」によると、教育の最終目標は「社会全体が良くあること=人々が心身ともに健康で幸福であること」
「社会全体のウェルビーイング」を実現するため、個人に次の3つの資質を求めている。
・物事に主体的に関わる力
・クリエイティブな力
・対立を解消する力
これらの資質は、まさに世界の産業界全体で求められている能力。
いまの日本に必要な人材は、目の前にある(まだ見えていない)問題の解決策を自分の頭で考え(又は自分で問題を発見し)、解決のため行動に移すことのできる主体性を持った人材。
大きな壁に直面したとき、誰かに責任を押しつけて被害者のフリをするのではなく、「当事者」として自分にできることを考え、周囲を巻き込んででも失敗を恐れず状況を打開しようとする人材。
一方、日本の学校教育において個人の資質として求められていることは「ペーパーテストを解く力」が主流。
その結果、一流と言われる大学を出ても言われたことしかできない人、価値観の違いを乗り越えることが苦手な人、当事者意識に欠け問題解決を先送りにする人、世の中への貢献よりもお金と役職に執着する人が、政治や行政、企業の要職につき、組織の成長にブレーキをかけてしまっている。
日本の購買力平価ベースの平均賃金は現在約4万ドルで、OECD平均の約5万ドルを下回る。
1位はアメリカで、約7万ドル。
ここ20年間、日本では平均賃金は低迷、アメリカは倍増。
日本はいまやEUの中で財政難にあえぐイタリアと同じグループにおり、そのすぐ下のグループには旧共産国や財政破綻したギリシャが迫っている。
株価についても、2021年暮れに日経平均の年末終値が32年ぶりの高値をつけたというニュースが流れたが、裏を返せば「日本は32年間経済成長していなかった」ということ。
その間、アメリカのダウ平均は12倍になった。
感染拡大前、日本のインバウンド需要は異常な高まりを見せ、2019年の訪日外国人は3000万人を超えた。わずか8年で5倍に増加。
「日本の良さが世界に知れ渡ったからだ」「日本のサービスや製品がいいからだ」という意見もあるが、実態は「日本が貧乏になったから」という理由にほかならない。
今はアジア各国の人たちが、安全で物価の高い日本で旅行を楽しんでいるのが現実。
経済や国力の観点から見れば、日本の教育は十分に機能しているとはとても言えない状態。
根本にあるのが、子どもたちに同質性を求めるあまり、個性を異物とみなす学校教育と、テストでいい点数をとった人間だけを優秀な人材とみなす学力至上主義。
コメント
全て日本の教育が悪で、日本の政治や経済が停滞しているのも教育のせいだというのはどうかと思いますが…。
学力を基準にするからこそ、公正かつ客観的に合否を判断できる面があります。
ペーパーテストで良い点をとった人間が偉いわけではなく、高学歴であれば皆、仕事がデキるというわけではありません。
中学受験はまさにペーパーテストですが、特に難関校では単に知識や解法の暗記だけで対応できるものではありません。
自分で調べ、考える力のある優秀な生徒を選抜するためのテスト。
自分でもやってみましたが、中学受験の問題は、「非認知能力」や「地頭」を鍛えるいい訓練になると思っています。