我が家の息子が今年2月に中学受験しました。
中学受験は、数年がかりで多大なコストと負担をかけ、本気で志望校合格を目指して勉強するハイレベルな集団の中での競争です。
この中で、自らの位置取りを偏差値という形で確認していくことになります。
偏差値は、母集団に依存しますが、母集団は、特定のテストを受けた受験生により構成されます。
従って、塾が異なり、また模試やテストが異なれば母集団が変わりますから、本来、異なる偏差値どうしを比較しても意味がありません。
塾によって、全体の規模やターゲット層が異なるため、つまり母集団が異なるため、塾間の偏差値を直接比較できません。
例えば、四谷大塚の偏差値60とサピックスの偏差値60は同列に比較できません。
同じ塾で継続的に実施されるテストであれば、ほぼ同じ母集団と仮定して経年比較することは可能です。
実際には、学年が進むにつれて塾生が入れ替わっていきます。
息子の学年では、新小4の頃、塾生は7100人くらいでしたが、6年後期では6200人くらいになっていました。
学年が上がり、本番入試が近づくにつれ、競争が激しくなっていきます。
この間、集団全体のレベルが上がっていきますので、その中で立ち位置を引き上げることが難しいことが想像つきます。
この状況で偏差値を維持できれば、むしろ健闘していると評価できます。
塾の中学受験のカリキュラムは新小4からスタートしますが、全員が横一線でスタートラインに立っているわけではありません。
スタート時点でかなりのばらつき(実力差)が存在しています。
定期テストの標準偏差(母集団のばらつきの大きさを表す指標)を見ればわかりますが、小4のときのばらつきは、小5よりは小さいものの、小6のときとほぼ同じレベルでした。
偏差値50と60はどれくらい違うイメージなのか。
わかりやすさのため、小6のサピックスオープン模試(SO)の算数を例に考えます。
SOは、多くの受験生が受ける前提で難易度や分野のバランスに配慮した問題構成になっています。
150点満点(時間50分)で、問題数は、大問が7、全体約30問(1問5点)。
難易度別に以下5段階に分けられ、出題比率は概ね以下のとおりです。
A:シンプルな計算問題ないし一行問題、正答率80%以上、6~7問程度
B:基本問題、正答率60%以上、7~8問程度
C:少しひねった問題(基本問題からの派生)、正答率40%以上、5~6問程度
D:応用問題、正答率15~40%、4~5問程度
E:発展・特有問題、正答率15%未満、4~5問程度
各回のSOの難易度と出題傾向を分析しましたが、この構成割合は基本的にほとんど変わりませんでした。
サピックスの先生は作問のプロだとつくづく感じました。
<偏差値50>
偏差値50=平均点は、各回で変動しますが、30問中16~18問程度正解するレベルです。
基本のA/B難度がほぼできていて、基本問題からひねりが入ったC難度の問題が2つ3つとれれば、D/E難度が全くできなくても平均点に達します。
A/B難度で2問程度ミスしても、C難度で過半取れていれば届きます。
つまり、偏差値50は、計算力があり基本問題を一通り習得しているレベルと言えます。
基本問題にひねりが入ると不安が残ります。
A/B難度の問題は、最初の方の大問1と2に多く出題されますが、ここを速く正確に解くのは意外と難しく、侮れません。
我が家の算数男子も油断するとこの部分でポカミスしていました…。
その度に、床に転がって悔しがりました(お約束の光景)。
<偏差値60>
全30問のうち21~23問正解するレベルです。
A/B難度はほぼ固め、C難度も8割方おさえた上で、D/E難度のところが10問のうち2~3問できているレベルになります。
偏差値60は、基本問題をおさえた上で、そこから派生してひねりが入った問題にも対応でき不安がない点が偏差値50のケースと異なります。
つまり、基本問題にひねりが入っても対応できるかどうかが50と60の分かれ目になると思います。
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