難関中の入試問題をみると、学校のカラーや、どんな生徒を求めているのか、学校のメッセージが伝わってきます。
慶應、早稲田、駒東、渋幕とみてきましたが、男子御三家の麻布も見てみたいと思います。
麻布中の社会の問題です。
「社会には、貧富の差によって差をつけてはならないにも拘らず、現実にはお金の力に左右されてしまっていることがある。そのようなことがらの具体例を挙げ、どのような問題を引き起こしているか説明せよ。」
ヒントとして、教育、政治、医療がテーマになりうるとありました。
字数は160字以上200字以内。
かなりハードです。
大人でもどれだけ書けるでしょうか?
大学入試で出ても全然おかしくないレベルです。
教育とお金の問題。
以前、本ブログでも書きましたが、親の年収と中学受験の間の高い相関、東大生の親の年収の高さが話題となりました。
「教育格差やその固定化」の問題。
この問題を親ではなく、小学生の子どもに考えさせますか…。
親が塾や家庭教師に高いお金を払うことによって中学受験している本人に…。
政治とお金の問題。
例えば、親の地盤と看板、そしてカバン(=政治資金)を受け継ぐ世襲議員の存在。
政治にお金がかかるので経済力のある一部の人や特定グループの支援を受けた人によって国会議員が占められているという、日本の政治の問題。
こうしたことを考えて問題意識をもっている小学生がいるとしたら、日本の将来も捨てたものではない気がしてきます。
これだけで麻布のレベルの高さが体感できますが、現代社会だけではありません。
歴史の問題も見てみたいと思います。
第二次世界大戦中、東海地方に大地震が発生し大きな被害が出たが、翌日の報道では「その被害はわずか」という、実態とかけ離れた報道がなされたことを挙げ、なぜ当時の日本政府は情報統制を行ったのか、考えられる理由を述べよ、という問題。
1944年12月の昭和東南海地震と1945年1月の三河地震は、軍部によって完全に隠ぺいされました。
当時、日本は太平洋戦争の最中、しかも敗色濃厚でした。
特に、名古屋を中心とする東海地域は軍需工場が集中しており、その被害状況が敵国(アメリカ)だけでなく、自国民に明らかとなることを恐れました。
報道統制と徹底したかん口令が敷かれ、死者数が千名を超えた被災地は孤立無援だったそうです。
…これはあまりに酷すぎる。
塾のテキストではこの事実は習わないかもしれません。
たとえそのことを知らなくても、戦争中に政府(軍部)が情報統制したのはなぜか、当時の政府にとって都合が悪い情報が国民に知られるとどうなるのか、といったことを考えて答えることが求められます。
政府にとって都合が悪い情報を隠そうとすることは古今東西、どこの国も一緒な気がします。
現代社会やそこに通じる問題に、鋭く批評的な目を向けて深く考える姿勢を求めているのが麻布です。
一味も二味も違います。
親としては、こうした学校で子どもを学ばせてみたくなります。
【P.S.】
3年間の中学受験の記録を記事に纏めました。
この3年間に考えたこと、実践したことを、率直に、ありのまま、なるべく具体的に詳しく書きました。
参考になりましたら幸いです。