(724回)
仁助先生:昨日は
鉄が無いけえ
貧血になる話をしたけど
今日は
鉄があるんじゃが
貧血になる話をするで
與吉:はい
お金があっても貧乏みたいな
ことですか
仁助先生:うん
ちょっと似とるけどのう
さてとじゃ
もう一回復習をしとこう
貧血とは
與吉:
赤血球の数が少ない時
赤血球の数はあっても
ヘモグロビンが
少ない時
仁助先生:そこでじゃ
そのヘモグロビンが
上手く作られんかったら
貧血になり
そして
材料の鉄が
余るということじゃ
與吉:はい
それなら
前に教えてもらいました
ヘモグロビンを作るときの
ことですね
仁助先生:そうよ
覚えとるかのう
與吉:はい
覚えていますよ
ヘモグロビンが作られるのは
赤血球の前の段階
赤芽球のときに
細胞質の中にある
ミトコンドリアの中で
作られます
ということは
そのミトコンドリアの
中でのことを
思い出したら
鉄芽球性貧血は
解明できますよね
仁助先生:そうよ
何が原因になると思うか
與吉:はい
ミトコンドリアの中で
最初に
グリシンと
サクシニルCoAが
δアミノレブリン酸合成酵素
ピリドキシン
ピリドキサールリン酸
によって
δアミノレブリン酸になり
ミトコンドリアから細胞質に出て
また帰って来てから
ヘム合成酵素によって
3価の鉄がくっついて
ヘムができ
細胞質に出ていき
グロビンとくっついて
ヘモグロビンになるんです
仁助先生:よしゃ
よく覚えとったのう
その今言った
δアミノレブリン酸合成酵素
ピリドキシン
ピリドキサールリン酸
ヘム合成酵素
これらが
一つでも足りんかったら
ヘムが出来んので
ヘモグロビンが
作られんということじゃ
與吉:それで
鉄があっても
貧血になり
鉄が余るということですか
仁助先生:そうじゃ
あっても
上手く使われんかったら
宝の持ち腐れということじゃ
それで
赤芽球を鉄染色してみると
核の周りにある
ミトコンドリアにある
鉄が青く染まり
核の周りを取り巻くように
鉄が染まるんじゃ
なんでもそうじゃ
ものがあっても
よう使わんかったら
何にもならんということじゃ
與吉:はい
よく分かりました
また
よろしくお願いいたします
山陽女子短期大学
臨床検査学科
谷口 薫