【日本語】LC475 レストア記、電源制作とクロックアップ | Kero's Mac Mods

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<<英語版とは表現が異なるパートがあります。興味のある方は英語版も合わせてご覧ください。>>

 

先日の話です。Appleフリークの友人である高橋先輩のApple II Euro Platinumを改造/修理しました。僕は普段世話になっているからお金を取るのもなんだなぁと思い・・・先輩の部屋に転がっていた廃棄寸前(!?)のLC475をもらう事にしました。この個体は蓋の爪折れ、電源とロジックボードの両方が故障していました。どうも勤務先の会社で活用していたそうです。昔90年代の頭ぐらいでは主に研究機関ではMacが主流でした。

実は僕も昔LC475を一時持っていましたが、20年以上前のことでした…まだ独身でしたから。当時は今のような便利な機器が無く活用の余地がありませんでした。 最も便利なのはZIP、MO、JAZZ…などなど。

 

ティアダウン

 

いつものように一度すべて分解します。 ケースはワイドハイターEXで漂白し、かなりきれいになりました。

ロジックボードは、すべての電解コンデンサを交換し、パワーサプライは16V以下のすべてのコンデンサを交換しました(この時点ではこれで動作しました)。フロッピーディスクは固着があり、超音波清掃して再グリースします。 ハードディスクを分解してみましたが、ラバーダンパーのないタイプなので、もし調子悪ければ諦めます。 本当はデーターを抜いて友人に渡してあげたかったのですが・・・。

 

アッセンブリー

 

組み立ては簡単ですが、この年式のある一定のプラスチックケースは加水分解が起きいますので壊れやすい。 LC575、LC630、LC475、Performa6400シリーズ、5500シリーズなどのモデルはすべて質の悪いプラスチックで、時間の経過とともに壊れやすくなります。 実際に組み立てるときも、パズルのように壊れたプラスチックを接着して補強する作業がありました。元から折れていたリッドの爪はプラリペア(アクリル樹脂)で接着補強しました。

HDDは、Compaq(Seagate)Ultra3 SCSI18GBを使用して4つの2GBパーティションをマウントしました。 これには、自家製のターミネーションを備えた80ピンから50ピンのアダプターを使用します。

 

ボード上のアップグレードとして、以下のパーツを交換しました。

 

・CPUを680LC40RC25Bから68040RC33Aに交換しました。 ロット番号はL88Mで有名な耐性の高いいわゆる当たりロットと呼ばれるものです。 以前に購入し、使用せずに保存していました。 これはオーバークロックして結果を残したいと思います。

 

 

・16MB(80Ns)のメモリーが元々装着されていましたが、64MB(60Ns)のEDO SIMMに交換します。 オーバークロックには70N以上が望ましいです。 ロジックボードには、直接はんだ付けされた4MBのRAMもあります。 僕の経験では、これは80Nsまたは70Nsのバーションがあり、オンボードメモリーはオーバークロック上どちらも動作に影響はありませんでした。

*このメモリーは非常にユニークな設計で、RAMボードにレギュレータが取り付けられており、チップに電力を供給するために5Vから3.3Vにドロップさせています。

 

・2つのVRAMはオーバークロックする上で非常に重要なポイントです。 これは僕が70Nsに改造した純正VRAMです。 現在、VRAMで70Nが市場に出回ることはめったにありません。 したがって、RAMカードからチップを取り外して交換します。 純正のVRAMチップはMitsubishiM5M482128AJで、新しいチップはMicron TechnologyMT42C8128DJ-7です。 データシートは、両方のピンに互換性があることを示しています。 本当に512KBのVRAMを2つインストールしたいのですが、今回は入手できなかったので、256KBを2つ搭載します。 VRAMのベースクロック倍率は1/3であるため、80Nの上限は37MHz、70Nの上限は43MHzとなります。

上の写真では、1つのボードのみチップを交換しましたが、これは(LC475では)ペアで搭載する必要があります。

 

電源が突然死亡

 

問題なく起動し、インストール作業を進めていましたが、約20分後にハードディスクが停止しました。 ハードディスクが壊れてしまったと思ったのですが、ハードディスクを外しても本体が起動しません。 ファンは作動していますが、12Vは10Vしか出力せず、5Vは約3.5Vしか出力しません。

以前、Apple IIeの電源ケースに搭載したFLEX-ATX電源があり、これにはApple IIの動作上-5Vも出力があったためこれを使用してテストを開始しました。(今考えたら他にも電源はたくさんあった) このATX電源では正常に機能しました。 電源は最大出力が300Wあり、LC475でも非常に安定しています!

 

それからしばらくは・・・電源はどうしようかぁと考えていました。 オリジナルのLC電源は50Wです。 一部のWebサイトの情報には120Wと記載されていますが、これは誤った情報です。 PSUケースの出力は-5V、12V、5Vですが、合計は28.485Wです。 今回はHDだけで12.73Wを使用するので、容量が足りないようです。純正電源を再度修理するというのも考えたのですが、あまり面白くないので、やはり作り直して少なくとも80Wに上げることにしました。しかしこの大きさだとFLEX-ATXでは収まりませんし、ケースを削るのも嫌だなと・・・そので一工夫。

DELLとHPがノートパソコン用の大容量ACアダプターを販売していたので、これならなんとか入るものがあるのかと。特に小さいLCに入りそうなものを選びました。

同時に、大容量のDC-DCコンバーター(最大4A)と負電圧反転コンバーター(最大0.4A)をいくつか購入しました。

サイズに関しては、DELLの20V / 4.5A (90W)ACアダプタがちょうどいいサイズでした。 変換時の変換効率が80%でも72Wとなるので、LC475にはこれで十分です。

 

DC-DCコンバーターは可変式なので、ケースにはモニターできるようにLED電圧計を取り付けました。 後はしっかりと絶縁され、完成しています。 排気熱が気になりますが、もともとプラスチックケースに封入されていたスイッチング電源なので大丈夫だと思いました。 ファンは取り付けられていません。 ケースと中身の隙間はパツパツです。

 

Bootup

 

完璧に組み上げたLC475は、すぐに起動しました。 PSUが安定しているので動作が安定しキビキビ動きます。 OSは7.5.5と8.1をインストールしてみました。自分で言ってしまいますが本当にいい仕上がりになりました。

 


 
ROMの使用上RAMチェックが入るので64MBもメモリーがあるとチェック時間がかかります😅 これも後々Rom-inatorのようにRamチェックを外したROMに書き換えたいと思います。
 

Digikeyに注文したロジックボードへのMolex7pinコネクタを待っていますが、当分の間、一時的ですが元のコネクタを使い我慢します😫 暫定的なのでケーブルは長めにセットしています。

 

Over Clocking

 

LC475のオーバークロック手順を以下に要約します。

*残りのテキストは、私が時系列で行った作業です。

 

ところで、昔よく68040系のMacをクロックアップして40MHz程度でも調子が悪くなったというのを耳にしましたが、それは何故でしょうか?もし、CPU自体は40MHzであればCPUには定格動作の余地があります。とするとボード上の何かが原因です。僕の経験上それの多くは低速なVRAMが起因しています。VRAMが80Nsだと画面にゴミがちらついたり、ちょうど現代のPCにおいてのグラフィックカードの熱暴走みたいな症状が出てしまいます。当ブログをすべて読んでくだされば解決するはずです。また僕が試したものでは同じ80NsでもToshiba製のチップは高耐性で40MHz以下であれば概ね安定します。

 

⭐️⭐️⭐️

オーバークロックの3ステップ

⭐️① 33MHzへ上げる: 

二個の抵抗移動。 R25にある301をR22へ移動、R21にある472をR24へ移動。これだけです(笑)

この抵抗移動の意味は、U17に位置するプログラマブルクロックジェネレーター343S1135の源発信周波数を変更するものになります。

 

*この詳細については下記に詳しく解説してあります。

Q605 (LC475, P475, P476) Speedupwww.applefool.com

 

⭐️⭐️② 37MHz近辺へ上げる: 

①の工程に加えて、20MHzのオシレーターを取り付けます(CPUクロックはドライバー経由でX2=40MHzとなります). + 5VのVCCとGNDは純正のオシレータピンにはんだ付けします。 *純正のオシレーターは取り外さず、そのままにしておきます。

 

オシレータのアウトプットは、PCBの背面にあるR93抵抗を取り外し、ボードの中央方向のパターンにはんだ付けします。

これは、元のオシレーターからの出力を、クロックドライバであるMC88920のピン8への入力から遮断し、新しく追加されたオシレーターの出力を割り込ませることを意味します。

 

注:上の画像はシリコンオシレータモジュールを使用していますが、通常のクリスタルオシレータを接続するときのピン配置は下の画像のようになります。このとき、+ 5Vで駆動されるオシレータを選択して使用してください。

 

⭐️⭐️⭐️③ 40MHz オーバーへの道: 

①と②のメゾットに加えて、クロックドライバー「MC88920」を交換します。 使用可能なドライバーチップは、MC88916DW70、MC88916DW80、MC88915DW55などに置き換えることができます。さらに、VRAMを高速70Nに置き換えます。 今は入手が難しいので、ピン対応のチップのみを入手して交換することをお勧めします。 さらに低速メモリを高速70N以上に交換してください(※必要と思われる場合)

 

https://ameblo.jp/keroxiee1016/entry-12614308377.html

VRAMについて。 これは僕の過去ブログですが、上記も参照してください。 ※オシレーターの取り付け方法が異なります。

 

*回路図は後でアップロードします。

 

⭐️⭐️⭐️

 

オーバークロックは、LC575や他のモデルと同様に、クロックドライバに水晶発信子オシレータを割り込ませる方法です。 クロックドライバは、CPUクロックを駆動するだけではないため、交換することはできません。

クロックドライバであるMC88920の対応する周波数は元々12.5MHzです(CPU倍率は2倍の25MHzになります)。 したがって、より高い周波数を入力すると、制限がかかります。 有名なバイブル「DoopingMac」には太田さんによるそのような記述がありました。 「40MHzの発振器を設置しても37MHz程度にしかならない場合があり、時間が経過すると徐々にクロックが落ちる場合がある。まれに、40MHzを出力できる個体もあるがごくわずか…」と。

 

最初に...抵抗を動かすだけ(上記の⭐️①を参照)でテストしました。 25MHzから33MHzにオーバークロックする場合は、2つの抵抗を交換するだけで、水晶発振器オシレーターをさらに追加する必要はありません。

以下が結果ですが、特に問題なく動作し、LC475はOSからの純正のように見えます。*CPUは68040に交換済み。68LC040でもオーバークロック可能。

 

LC630(Quadra630)とほぼ同じスコアです。

 

そこから...次に(上記の⭐️⭐️②を参照)20Mhzの水晶発振器オシレーターを割り込ませて40MHzにオーバークロックしようとしましたが、LC475は37.84MHzに制限されていました🤷‍♂️

 

秋月電子で買った20.00MHzのエプソン製オシレータは5Vで駆動する。テストに使いました。

 

 

ここから、ドイツから届く予定のクロックドライバーを待っていたので、しばらくの間他のプロジェクトに取り組んでいました。 

 

その間、使えそうな上位の水晶発振器オシレーターを探していたのですが、もしかしたらこれを可変にできるのではないか(?)と考え出しました。 今回は調整可能なシリコンオシレーターを使いました。 

僕の計算では、この抵抗の組み合わせのセットアップで可変範囲は37.7〜46MHzとなります。 この時点では机上の空論でそれがしっかりとLC475で機能するかどうかわかりませんでした。 少なくとも68KMacでは誰もそれをやったことがないと思います。等価直流抵抗が一定でないと起動しないとかでなければ(AppleIIはそういう仕組み)動くはず。 とりあえずはクロックドライバーの到着待ちなので、一時温存して一番最後にやってみます。

 

2022年2/1改修・・・現在このアイデアをSpicy O'Clockという商品で再現しました。興味のある方はこちらを御覧ください。また日本発売は数週間先になるかもしれません。

 

それから2週間が経ち・・・ドイツからクロックドライバーが到着したので、すぐに交換しました。 交換するクロックドライバーはMC88916DW80です。作業しやすいように PCBを扱から周囲の部品を可能な限り取り外し、エアフローを使って交換します。 SCSIコネクタは溶けやすいので特に注意してください。 僕はこの作業に慣れているので、きれいに出来ました(笑)。

 

 

交換後・・・なんと電源が入って起動することはありませんでした。 これは失敗です。 おそらくチップの不良です。 今回は代案として、LC575(*グラフィックチップが不良の)のロジックボードからMC88916DW70を取り外して取り付けることにしました。

 

上から:MC88920 / LC475、MC88916DW70 LC575、MC88916DW80 /ドイツから送られてきた不良チップ。

 

 

完成したら全部チェックして、電源を入れると心地よいブートチャイムが鳴りました!!! うまくいきました!!! 今回は40MHzが正しく出力されます。 完璧です!

 

 

クロックドライバーに余裕ができたので、限界チャレンジ。 以前に作成したLTC1799モジュールを搭載します。 これが機能するかはわかりません。 周波数を計算し、テスターで事前に任意のDC抵抗値を設定します。 僕が最初に試したのは、直流抵抗値1.5KΩでした。理論値としてこれは20.8Mhzと計算され、CPUクロックは41.6Mhzです。

 

なんと一発ピッタリ41.6MHz!このモジュールは精度がすごい。

 

 
可変オシレーターモジュール
 
直流抵抗を測定し、クロックを設定します。

 

電源スイッチを入れると問題なく起動します! 大成功! クロックを確認すると、理論値である41.6Mhzがわかります。 ここから少しずつ増やしていきましたが、43MHzに達することは出来ない(残念)という結論になりました。 42.7MHz以上に設定すると起動時にフリーズします。成功した クロックの比較は次のとおりです。

 

41.6Mhz以上は誤差範囲でしか上がっていきませんでした。
 
Quadra950と比べると1.2倍をちょっと欠ぐらいです。
 
HDアクセスランプを取り付けました。 この位置では、ケースの蓋のスリットを通してそれを見ることができます。

 

作業を終えて

 

最後にオーバークロックで終了しましたが、このLC475はローエンドマシンですが、かなり面白いMacです。 アクセラレータを使用しなくても、アイデアだけでほぼ2倍近い速度を得ることができます。 作業はそれほど難しいことではないと思います。

また、MC88920の特性上、38MHz前後のオーバークロックはこのマシンでは機能しませんが、VRAMが80Nであっても機能しないことも説明しました。 40MHz以上では画面がゴミでいっぱいになります(笑)。 RAMは高速である方が良いと言いましたが、実際にはVRAMの速度が重要です。

 

I wanna 12" RGB Monitor to stack on this beautiful LC475...

 

以前は同じLC475でPPC601カードを使っていましたが、そこまで魅力的ではありませんでした。 今度はPDSにIIeカードを取り付けてみたいと思います。 最後まで読んでいただきありがとうございます。 Have a nice Mac mods!