伝わらない言葉なら、
口に出したくないって思ったんだ。
頑張って言葉にしてみてもダメだったから、
向こうから聞いてくるまで自分では何も話さなかったんだ。
私の伝えたい言葉が届いてほしいなって
思ったこともあった。


でもあなたたちはいつも私だけの言葉には耳を貸してくれなかったね。
いつも二人、
私はそんなこと言ってないのに
私はそんなこと思ってないのに
いつも二人の言葉にしたね。


私はそんなこと思ってないよ。
私はあなたにきちんと行きたい所
やりたい学部、落ちた時の最終の進路先
先生から聞いたことあなたにきちんと話した。
私は、話したよ。


話していないのはあの子でしょう?
私は話した、言葉にした、伝えた。
なのに、無かったことにされるこの気持ち。
いつも二人でうちらのことみてるよね。
一人の個人としては絶対にみてくれないんだ。


いつも、二人二人二人二人二人二人二人二人二人二人二人二人二人二人二人二人二人二人…


私達はもう小さい頃とは違うよ。
自我だってある。
趣味も違う。
同じ服だって着ない。
私達はもう一人の人間になった。
見てほしい、もう二人じゃなくて一人として。


私の言葉を聞いてほしい。
聞いてくれるなら何だって話すよ。
私を個人として一人として扱ってくれるなら。
こんなに待ち望んで望んで焦がれるほどに望んで。


いつまでも、二人じゃないよ。

お金かかってごめんなさい。
二人で産まれてごめんなさい。
学校に行ってごめんなさい。
これでもお金かからないようにしてきたつもりなんだけどな。
結局は、私達がいることでお金かかるんだもんね。
でもこれで、私達に大金を使うのは最後なんじゃないかな。


『一気に二人分お金かかるんだから』
こう言われる度に、二人で産まれたことに
後悔して、悲しくなって。
何度、生まれたことを憎んだかわからない。
だって、二人分かかるのは、私達にはどうしようもないことで。
どうしようもないことを
ひたすらに責められているようで
堪らなく息苦しくなってその場にいられない。


私達にどうしろと言うのですか?
私の意見もあの子の意見もあなたたちの中では
一つとして存在しないのでしょう?
一人一人の言葉も二人の言葉になってしまう。


存在を消されているようで、
堪らなく悲しいんです。